Vol.0710
<タックスニュース>
ビル・ゲイツ氏「最も裕福な我々に課税を」 「富裕税」導入を提言
マイクロソフト社の共同創業者で慈善事業家のビル・ゲイツ氏が、世界経済フォーラムで富裕層への増税を訴えた。ゲイツ氏はこれまでもたびたび富裕層がより税負担を課されるべきと主張してきたが、「現在に至るまで増税が進んでいないことに驚いている」と述べ、不平等の是正に自身を含む富裕層の財産が使われることを望んだ。
1月19日までにスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムでのパネルディスカッションで、ゲイツ氏は富裕層への課税および、先進国から発展途上国への寄付金の増額を提案した。「国であれ企業であれ個人であれ、最も多くの財産を持っている人々はもっと寛大になるべきだ」と述べた。ゲイツ氏によれば250人以上の超富裕層が賛同し、世界の指導者たちに向けた富裕税を課すように求める公開書簡に署名したという。書簡では、「富裕層に課税したとしても、彼らの子どもたちから財産を奪うことにはならないし、彼らの生活水準を根本的に変える」こともないとも記されているという。
ゲイツ氏が“富裕税”を提言するのは、今回が初めてではない。2018年には、当時の米トランプ政権が作成した税制改革案について、「中間層や低所得者層に比べて経済的に恵まれている人のほうが劇的に多くの恩恵を受ける」と批判し、「私は他の誰よりも多い額を米国政府にこれまで納税してきた。だが政府は私のような立場にいる人々に対し、さらに高額な税金を課すべきだ」と語ったことがある。
ゲイツ氏は慈善事業家としても知られ、22年には慈善基金団体に約2.7兆円を寄付した。元妻のメリンダ氏と合わせた生涯寄付額は7.4兆円を超え、著名投資家のウォーレン・バフェット氏を超えて史上最大の“慈善家”となっている。
国際NGOのオックスファムの調べによれば、コロナ禍の約2年間で世界の99%の人が収入を減らした一方で、世界で最も裕福な10人の資産は倍増したという。
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<タックスワンポイント>
詐欺の被害は税金では救済されず 確定申告期に“ニセ国税”が多発
毎年、確定申告の時期に増えるのが、税務署員を装って現金自動預払機(ATM)に現金を振り込ませる「振り込め詐欺」だ。言うまでもなく、国税局や税務署が金融機関の口座を指定した上で税金の振り込みや還付金の支払いのためにATMの操作を求めることは絶対にないが、近年では現金を直接狙うだけでなく、勤務先や取引銀行の情報を問い合わせる事例、未公開株や社債の取り引きに関連して銀行の口座情報を聞き出そうとする例など、さまざまな被害が報告されている。
また電話だけでなくメールによる詐欺も増えているほか、振り込め詐欺の手口は複数人がそれぞれ税務署、警察、金融機関を装うなど巧妙さを増していて、見抜くのがますます難しくなっているという。「自分だけは大丈夫」などと自信を持たず、何事も疑ってかかる心構えが求められていると言えるだろう。
覚えておきたい知識として、本物の税務職員が税務調査や滞納整理を行う時には、必ず顔写真のある身分証明書を携帯している。少しでも怪しいと思ったときには身分証明書の提示や、税務署への直接問い合わせによる確認をすべきだ。仮に本当に税務署からの連絡であったとしても、一度「顧問税理士に相談して折り返し連絡します」と答える習慣をつけておくことも、詐欺被害の防止には役立つはずだ。
もちろん振り込め詐欺の手口は税務署を名乗るものだけではない。過去にあった事例では、長男を名乗る電話で「確定申告があって税務署に3千万円払わなければいけない」、「頭金が今日中に必要」などと伝えられた女性が、自宅まできた男に現金150万円を渡してしまったという。
詐欺ばかりは、いかに税理士が有能であろうとも、納税者本人が気を付けていなければ防ぐことはできない。また詐欺の被害は盗難などと異なり、雑損控除などの税の救済手段も適用されない。詐欺に引っ掛かったのは本人のミスだからという容赦のない理由だ。
詐欺の手法は年々新しく、また高度化しているため、重ねて言うが「自分だけは大丈夫」と思い込まず、不審な点がなくても必ず家族や顧問税理士、あるいは警察などに確認することを心掛けたい。
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