<タックスニュース>

関東信越税理士会が意見書  医療費控除の廃止求める

関東信越税理士会はこのほど、2026年度の「税制及び税務行政に関する意見書」をとりまとめた。所属する会員税理士から寄せられた162の意見を審議し、53項目を採用した。内訳は、税制に関する意見が47項目、納税環境整備に関する意見が6項目となっている。
 所得税法関係では「医療費控除を廃止すること」、相続税法関係では「贈与財産の加算制度の適用を受けたものについても、配偶者の税額軽減の適用を認めること」「相続開始前の贈与加算について各年基礎控除範囲内の贈与分を除くこと」、納税環境整備関係では「申告書のほか、更正の請求書についても書面添付できるようにすること」などを新規の意見として要望している。
 同会では、医療費控除の廃止を求める理由として「医療費については、健康保険制度内で手当てされるべきである。高額医療費制度が存在することから医療費控除が発生するケースにおいては健康保険制度の対象とならない自由診療によることが多々見られる。医療費の支出に伴う担税力の減少を反映するという医療費控除の本来の目的からいえば、高額な自由診療を受けることを自ら選択した者ではなく、自由診療を受けることができない低中所得者が対象となるべきではないだろうか。また、所得控除の性質として所得税率の高いものほど恩恵を受けることができることや、そもそも所得税が発生しない低所得者にとっては恩恵を全く受けることができないことから、本当に医療費が重荷となっている納税者の助けになっているのか疑問である。医療費控除を廃止すれば医療費控除を受けるために多数の納税者が来場する申告会場の運営コストの削減にも繋がり、その分で健康保険制度を充実させるほうが公平かつ効率的に国民の健康に寄与できるのではないだろうか」とする意見をまとめている。

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<タックスワンポイント>

はしかが流行 予防接種費は控除できず  自治体が費用助成 まずは抗体検査を

 麻しん(はしか)患者が急増している。国立感染症研究所によると、3月16日時点で今年の報告数は32人。このうち、少なくとも22人が3月以降に感染しているという。はしかは本人自身に肺炎や脳炎など深刻な症状を引き起こすだけでなく、極めて強い感染力を持ち、特に妊婦が感染すると流産リスクが上昇するなどのおそれがある。
 はしかの感染症の患者が増えている背景には、保健政策の変遷のなかで十分な予防接種を幼少期に受けられなかった“空白世代”が生じていることや、ワクチンの効果への不信などから子どもにあえて予防接種を受けさせない親の増加などがあるという。ともあれ、自分のためだけでなく家族や周囲のためにも、これらの予防接種を受けていない人はなるべく早く接種を受けるべきだろう。ただ、はしかの抗体検査や予防接種の費用は、医療費控除の対象にはならない。医療費はあくまで病気やけがの治療にかかる費用を指し、病気にかからないために受ける予防接種は該当しないというのがその理由で、これはインフルエンザなどにも当てはまる。
 そこでチェックしたいのが、自治体のホームページだ。多くの自治体では抗体検査や予防接種費用の助成を行っていて、例えば東京・新宿区では、①19歳以上の女性で妊娠予定、または妊娠を希望する人、②そのパートナーや妊婦のパートナーおよび同居者――のいずれかの条件を満たす人に対しては、無料で抗体検査を実施し、予防接種にも最大5210円の助成を行っている。自治体によっては、予防接種の空白期間に該当する世代(2歳~高校生相当以下)を対象にしているところもあり、この機会に抗体検査や予防接種を受けることをお勧めしたい。

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