<タックスニュース>

路線価の減額補正  贈与税の申告期限を延長

コロナ禍で地価が大幅に下落した地域について、相続税などの算定に使う路線価の減額補正が行われることを踏まえ、国税庁は、昨年10月~12月に行われた贈与にかかる贈与税の申告・納付期限を延長することを決定した。新たな期限は、補正内容の発表があった日から2カ月以内となる。
贈与税の申告期限は従来であれば毎年の確定申告期限の最終日となっている。今年であれば、3月15日だ。しかし今年に限っては、コロナ禍を受けての路線価の減額補正により、贈与額の算定に必要な情報が期限に間に合わないことから、期限延長に踏み切った。
延長の対象となるのは、昨年10月~12月までの間に、減額補正の対象となる地域の土地などの贈与を受けたケース。同年1月~9月に受けた贈与については、原則通り3月15 日が申告期限で変わりない。また補正対象となる贈与であっても、補正内容の公表前に申告納付を済ませているケースでは、更正の請求を経なければ減額分の還付を受けられないので注意したい。
路線価は、各地域の主要な道路に面する土地について1月1日時点の1平方メートルあたりの価格を算出したもので、その年にあったすべての贈与や相続について適用される。昨年の路線価は新型コロナウイルスが流行する前の1月時点のデータに基づくため、コロナ禍での地価下落という実態にそぐわないことから、国税庁は減額補正を検討していた。国税庁によると、20年1月からの半年間で地価の下落幅が最も大きかったのは大阪市中央区の宗右衛門町、名古屋市中区の錦3丁目の19%。また15%以上下落したのは東京都台東区浅草など4カ所もあったという。1月末に公表される昨年7月~9月までの路線価補正では、これらの地域が対象となる見込みだ。その後、同10月~12月までの路線価についても、4月に補正内容を発表するとしている。

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<タックスワンポイント>

詐欺かも! 確申期の電話「税務署です」  毎年この時期は振り込め詐欺が多発

いよいよ確定申告期のスタートが迫っている。毎年この時期に増えるのが、税務署員を装って現金自動預払機(ATM)に現金を振り込ませる「振り込め詐欺」だ。言うまでもなく、国税局や税務署が金融機関の口座を指定した上で税金の振り込みや還付金の支払いのためにATMの操作を求めることは絶対にないが、近年では現金を直接狙うだけでなく、勤務先や取引銀行の情報を問い合わせる事例、未公開株や社債の取り引きに関連して銀行の口座情報を聞き出そうとする例など、さまざまな被害が報告されている。また電話だけでなくメールによる詐欺も増えていて、国税庁は毎年この時期になるとホームページ上で注意を喚起する文章を掲載している。振り込め詐欺の手口は複数人がそれぞれ税務署、警察、金融機関を装うなど複雑さを増していて、「自分だけは大丈夫」と思わずに疑ってかかる心構えが求められる。
本物の税務職員が税務調査や滞納整理を行う時には、必ず顔写真のある身分証明書を携帯している。少しでも怪しいと思ったときには身分証明書の提示や、税務署への直接問い合わせによる確認をすべきだろう。仮に本当に税務署からの連絡であったとしても、一度「顧問税理士に相談して折り返し連絡します」と答える習慣をつけておくことも詐欺被害の防止には役立つはずだ。詐欺ばかりは、いかに税理士が有能であろうとも、納税者本人が気を付けていなければ防ぐことはできない。また詐欺の被害は盗難などと異なり、雑損控除などの救済手段も適用されないので、被害に遭ってしまっても例年通りに税務申告しなければならない。詐欺の手法は年々新しく、また高度化しているため、重ねて言うが「自分だけは大丈夫」と思い込まず、不審な点がなくても必ず家族や顧問税理士、あるいは警察などに確認することが重要だ。

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