<タックスニュース>

税金逃れの疑惑  トランプ氏を刑事捜査へ

トランプ前米大統領の脱税疑惑を巡り、米ニューヨーク州の司法当局が刑事捜査を開始したことが分かった。当局の報道官は5月18日、現地メディアに対し「(トランプ前大統領の脱税疑惑は)もはや民事の範疇ではなく、刑事事件だ」と声明を出し、刑事事件として捜査に乗り出したと伝えた。トランプ氏は大統領就任前に経営していた不動産関連企業「トランプ・オーガニゼーション」で、不動産の資産価値を過少申告していた疑惑を持たれている。
トランプ・オーガニゼーションをめぐっては、昨年9月に米有力紙ニューヨーク・タイムズが、トランプ氏が利用する自家用旅客機や別邸などを経費として落としていたことや、還付金を目的にゴルフ場やホテルの経営で多額の損失を計上していたことなどをスクープした。ニューヨーク州のマンハッタン地区の検察は金銭取引にからみ刑事事件としてすでに捜査に着手している。今年2月には連邦最高裁判所がマンハッタン地区検察の求めに応じ、トランプ氏に対して財務記録を提出するよう命令を下した。一方トランプ氏は一連の報道や捜査を「魔女狩りだ」などと非難して疑惑を否定している。
トランプ氏は大統領時代、野党から「富裕層と企業が優遇されるが中間層が貧乏くじをひく」との批判があがるなか、2017年に法人税を35%から21%に引き下げるなど税制改革を実行してきた。一連の税制改革を推し進めた理由として「成長促進、雇用創出、労働者の家族の支援を目指す」と語っていたが、現在、OECDは「減税による企業の再投資は見込めなかった」として各国に法人税の引き上げを要請し、国際的な法人税率のルール化に向け動き出している。長らく続いてきた法人減税の流れを実質的にリードしてきたトランプ氏が自身の会社で違法な節税に手を染めていたとすれば、さらに世論は法人増税に傾くことになりそうだ。

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<タックスワンポイント>

相続前後の預金引き出しは“争族”の元  民法改正で単独引き出し可能に

かつて銀行の預金口座は、本人が死去した後は原則として、遺産分割協議が整うまでは身内であっても引き出すことはできなかった。しかしそれはあくまでルール上の話であり、実際は亡くなったことが銀行に伝わらないうちにカードや通帳を使って引き出しや振り込みなどを行うことは普通に行われていた。
そして2019年の民法改正により、現在は遺産分割前の引き出しは法的にも「シロ」とされている。19年の法改正で導入された制度では、それぞれの相続人は各自の法定相続分の一定割合を、他の相続人の同意なく単独で引き出せるようになった。なお引出額の上限は1つの金融機関当たり1人150万円までとなっている。
課税の面からみれば、死亡した被相続人の預貯金は相続税の対象となる財産だが、仮に死亡の直前に多額の預金が口座から引き出され、それが被相続人の生活費や医療費など、妥当な目的で使われていれば、その分は相続財産には含まれない。また、一部の相続人が被相続人の死後に葬儀費用を負担した場合にも、その分は相続税上のマイナス資産として計算することができる。
だが相続前後の預金引き出しで問題となるのは、なによりも相続人の間での揉め事の種になることだ。相続では必ずといっていいほど家族間で争いが起きるとも言われるが、実際には同居していた長男夫婦などが家や預金の全てを相続し、葬儀も全て長男の責任で済ませ、弟妹たちには預金をいくばくかでも分けることで平和裏のうちに終わることがほとんどだ。他の親族もそれを了承しているため、莫大な資産があるか、もしくはよほど仲が悪くなければ揉めることはない。
だが、もし相続前後の預金引き出しが後に発覚すれば、それは不要な火種となってくすぶることになりかねない。たとえ全てを承継する予定の息子であっても、多くのお金を動かすのであれば、相続人全員の了承を得て行うようにしたいところだ。

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