<タックスニュース>

タックスヘイブンによる脱税  全世界で6兆円規模

 政府はタックスヘイブン(租税回避地)と名指しされている国や地域と、税務当局間の情報交換を強化する租税条約や協定の改定を相次いで進めている。リーマンショックとその後の混乱の要因として批判されるヘッジファンドを拠点から締め出そうと、G20の各国が連携を深めているからだ。
 日本政府が今年、租税条約・協定を署名したのは、ルクセンブルク、ベルギー、英領バミューダ島、シンガポール、マレーシア、クウェート、スイス。タックスヘイブンの代名詞にもなっているカリブ海の英領ケイマン諸島とは、租税協定の基本合意に至った。クウェート以外は経済協力開発機構(OECD)が2009年、国際的な税務の透明性を欠くと名指しした国・地域だ。
 タックスヘイブンには、世界で年間5兆~7兆ドルの資金が流入し、世界で6兆円程度、日本だけでも7千億円程度が脱税していると試算する専門家もいる。タックスヘイブンでの脱税を捕捉して、課税できれば、見過ごされてきた税源の確保になる。
 ただ、こうした日本を含めたG20各国の動きには「タックスヘイブンへの投資の流出を恐れて、これまで所得税や法人税を下げてきた各国が、ここに来て音を上げた」との見方もあり、税をめぐる国際的な争奪戦の様相ともなっている。

<タックスワンポイント>

ミスが多い少額資産の取り扱い  取得単位を要チェック!

 会社が「ちょっとしたモノ」を購入したときに活用されている「少額の減価償却資産の損金算入制度」。減価償却資産のうち、取得価額10万円未満のもの、または使用可能期間が1年未満のものが対象で、購入し使い始めたときに損金経理すれば全額損金算入となる。会社にとっては減価償却資産の管理が煩雑にならずに済むというメリットがある。一方で、この「少額の減価償却資産かどうか」の判定についてミスを指摘されるケースが、調査の現場で絶えないという。
 特に、「取得価額10万円未満」における単位が要注意。この場合の取得価額は、通常1単位として取引されるその「単位ごと」に判断される。社員に配布するため9万4500円のノートパソコンを10台買ったという場合。ノートパソコンは通常1台で使う。そのため、合計94万5千円でも1台が取得価額10万円未満として「少額の減価償却資産」とできる。
 しかし応接セットなど、普通1組で使うものであれば、いすとテーブルをそれぞれ分けて少額の減価償却資産とすることはできない。1組で10万円未満になるかどうかで判定される。また、少額の減価償却資産は、「一度資産として計上したものを、その後の事業年度で一時に損金経理して損金に」という手は使えないのでこちらも注意だ。

税理士法人早川・平会計