<タックスニュース>

法人税の申告事績  2年ぶり法人所得が増加

2020事務年度(20年7月~21年6月)の法人税の申告所得は70兆円を超え、2年ぶりに増加した。コロナ禍で飲食、宿泊業が厳しい状況に置かれる一方で、医薬品や家具などの小売業が好調だった。全国的に新型コロナウイルスの新規感染者数が減少するなか、苦境に置かれた業種をどのように今後支援していくかが問われそうだ。
国税庁が11月1日に公表した最新の法人税申告事績によれば、20事務年度の法人税は申告件数が301万件で、申告所得金額は70兆1301億円だった。前年度から5兆1千億円増加し、コロナ禍前の18事務年度には及ばないものの、2年ぶりの増加となった。申告税額は12兆1220億円だった。料理や旅館、飲食業などの申告所得が減少した一方で、小売業では増加が目立つなど、業種によって明暗が分かれている状況だ。黒字申告1件当たりの所得金額は6662万8千円で、赤字申告1件当たりの欠損金額は1212万1千円だった。
申告があった法人のうち、黒字割合は35.0%で、前年の35.3%から0.3ポイント減少した。ただしこれは過去の欠損金を繰越控除した後の数字であり、繰越控除前の単年度の業績でみると、黒字割合は56.9%となっている。ただしこちらは過去5年のなかでは最も低い割合となっていて、コロナ禍が多くの企業にダメージを与えていることが分かる。

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<タックスワンポイント>

祖父の隠し子と交渉決裂で孫が借金地獄  人生設計を狂わせる想定外の法定相続人

創業60年の老舗飲食店を経営する35歳のAさんは、先日大往生した祖父のために窮地に陥っている。
2年前、店長だった57歳の父が他界したとき、300万円足らずだった父の財産はすべて母親が相続した。父名義の財産が少なかったのは、自宅や事業用の土地・建物は、すべて創業者の祖父のものだったからだ。
父から店を引き継いだAさんは、順調に売上を伸ばしていた。そろそろ自営業からの法人化も視野に入れ始めた矢先、祖父が亡くなった。それで相続手続きのために取得した戸籍謄本を調べると、祖父がAさんの祖母と出会う前に、結婚して子を1人もうけていたことが判明した。驚がくの事実を知ったAさんが母に聞くと、彼女も知らなかったと言う。そこで先方に問い合わせると、祖父の妻であった女性は30年前に亡くなっていたが、その娘は60歳で健在だった。すなわち、ここにきて法定相続人が1人増えたことになる。
Aさんは、おばにあたるその女性を訪ね、祖父の財産の不動産はAさん一家が引き継ぎ、預貯金の半分を譲ることを提案した。しかし彼女は、不動産も含めた財産の2分の1を要求。「2歳の時に両親は離婚。以来、母は女手一つで生計を立て、私も苦労しました。何の支援もしなかった父は、今、その報いをすべき」と、一歩も譲らない。
祖父の相続財産の総額は8000万円で、そのうち現金は2000万円のみ。伯母の望む額4000万円を渡すなら、2000万円足りない。Aさんは仕方なく金融機関から2000万円を借り入れて彼女に渡した。その日から店の経営は、一気に悪化した。
隠し子が相続に絡むと、配偶者、子や孫など大切な人たちを傷つけることになる。心あたりのある方は、生前に家族へ「申告」をしたほうがよい。

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