<タックスニュース>

自民税調・宮沢会長  金融所得課税は23年度以降に検討

自民党税制調査会は11月18日、非公式幹部会合を開き、2022年度の税制改正議論をスタートした。住宅ローン減税や土地にかかる固定資産税の見直し、賃上げ税制の強化策などが主なテーマとなる。
岸田新政権の発足や衆院選挙のあった今年は自民税調で「インナー」と呼ばれる非公式幹部会のメンバーの多くが入れ替わった。例年より1カ月ほど開始が遅れ、税制改正大綱の12月10日ごろのとりまとめを目指し短期間での議論を余儀なくされる。新体制では会長に宮沢洋一元経産相、顧問に甘利明前幹事長と額賀福志郎元財務相、小委員長に加藤勝信前官房長官、小委員長代理に石田真敏元総務相、副会長に森山裕前国対委員長と塩谷立元文部科学相、幹事に小倉将信青年局長が就任した。
主要テーマの一つとなる住宅ローン減税の現行制度は、年末のローン残高(上限4000万円)の1%を所得税や住民税の税額から差し引けるのが基本となっている。一方、低金利が長期化する中でローン金利が1%を下回り、控除額がローン利息額を上回る「逆ざや」が生じている問題が会計検査院から指摘されている。宮沢会長は逆ざやについて「是正していかなければならない」と述べて控除率縮小の方針を示す。住宅業界や国交省は控除率を一律に0.7%に引き下げた上で控除期間を現在の原則10年から15年に延長して減税規模を変えないことを要望しており、控除率の幅や期間などが焦点となる。
土地にかかる固定資産税についても見直す。土地は3年に1度の評価額見直しで税額が決まる。21年度は再評価の年に重なり、新型コロナウイルス禍前の地価が反映されることによる増税の懸念があったことから、税額が上昇する商業地や住宅地などすべての土地の税額を前年度と同額に据え置く特例措置を実施したが、宮沢会長はこの特例措置について延長を行うべきではないとの考えを示している。
首相が一時意欲を示しながら先送りした金融所得課税の強化については22年度の改正項目としては議論はしないものの、「増大する社会保障などの歳出に対応するために考えていかなければいけない状況」として、23年度以降の改正に向けて今後の方向性を検討するとしている。

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<タックスワンポイント>

コロナ禍の忘年会を経費にする  外部を招くなら1人5千円以内に

忘年会シーズンがやってきた。昨年の今頃は新型コロナウイルスの感染者が急増している状況で、みんな集まっての忘年会など考えられもしなかったが、今年は感染者数が比較的落ち着いていることもあり、部署内だけでいいのでささやかに催したいと考える人もいるだろう。そこで、忘年会の費用を経費で落とすコツを改めて確認しておこう。
社内の忘年会であれば、よほど豪華な宴席でも催さないかぎりは、社員を交えたレクリエーションの一環として、「福利厚生費」で損金算入できる。福利厚生費で落とす時のコツは、従業員全員を忘年会にきちんと呼ぶことだ。コロナ禍で全社を挙げてというのが無理であれば、部署ごとでも問題ない。もちろん仕事の都合などで出席できないという従業員が出ることはやむを得ないが、最初から「お気に入りの社員だけ」「役員だけ」というような〝縛り〟を設けてしまうと、忘年会の費用は福利厚生費ではなく一部従業員への給与とみなされてしまう。
次に取引先など、外部の人間を招いて忘年会を行う時は、これは原則的には福利厚生費にはできない。得意先への接待として、損金に算入できない「交際費」とみなされてしまうからだ。税法上の規定としては「専ら従業員の慰安のため」なら福利厚生費となるので、たまたま取引先の人間が数名参加という程度であれば実務上は福利厚生費で落とせる可能性が高いが、それでも交際費と認定される恐れはゼロではない。
もし交際費とみなされると一定額以上は損金に算入できない。そんな時は「飲食費の5千円ルール」を使おう。これは、外部の人間を1人以上招いての飲食で、その代金が一人当たり5千円以下であれば全額を「飲食費」として損金にできるというもの。1次会と2次会をそれぞれ5千円で落とすこともできる。忘年会シーズンにありがたい規定だが、福利厚生費とは逆に、外部の人間を招くことが要件となっている点に注意したい。

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