<タックスニュース>

中小企業活性化パッケージ  無利子・無担保融資を延長

政府はこのほど、年度末をまたいだ中小企業の資金繰りや事業継続を支援する「中小企業活性化パッケージ」をまとめた。新型コロナ禍に対応した実質無利子・無担保融資の6月末までの延長などを盛り込んでいる。
日本政策金融公庫など政府系金融機関の「実質無利子・無担保融資」と、日本政策投資銀行と商工中金による「危機対応融資」は、3月末までとされていた期限を6月末までに延長する。返済負担を軽減するため、運転資金についての融資期間も15年から20年に延ばす。借入金を金融機関が自己資本とみなすことができ、企業が融資を受けやすくなる、日本政策金融公庫の「資本性劣後ローン」(最大20年元本据え置き、上限額10億円)は2023年3月末まで継続する。納税や社会保険料の支払い猶予制度の運用も継続する。
経営安定に支障が生じている中小企業を一般保証(最大2.8億円、80%保証)に上乗せした別枠保証(最大2.8億円、100%保証)の対象とする「セーフティーネット保証4号」の期限は、3月1日から6月1日に延長した。
企業の収益力改善や事業再生、廃業後の経営者の再チャレンジを一元的に支援する「中小企業活性化協議会」を4月1日から全国47都道府県に設置する。協議会には地銀や信金など地域の金融機関から30~40代の行員を派遣し、地域の支援専門家の育成も行うことで強固な支援体制を構築するとしている。

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<タックスワンポイント>

2つの会社の退職時期を空けるべき理由  税の優遇がゴッソリ減ってしまう!?

本業の会社以外に、不動産投資法人や資産管理会社など、複数の法人の要職を兼務している経営者は多い。いつかはそれらの役職を辞して現役生活にピリオドを打つときがくるかもしれないが、そのタイミングは慎重に検討したい。
退職の際に受け取った退職金は、所得税法上の「退職所得」として、「(退職金の金額-退職所得控除額)÷2」の式で計算される。計算式のうちの「退職所得控除額」は勤続年数によって変わり、20年以下の場合は「40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には80万円)」、20年超なら「800万円+ 70 万円×(勤続年数-20年)」となる。1年未満の端数が生じたときは切り上げだ。
注意したいのは、一つの会社から退職金を受け取った後、時間を置かずに別の会社も退職すると、退職所得控除の勤続年数の部分が調整され、退職所得控除が最大限使えなくなる可能性があるという点だ。その一定期間とは、「退職した年とその前の4年間」となる。
例えば本業であるA社に1996年4月1日に入社したとする。さらに本業の傍らで不動産投資を始め、収益不動産を保有するB社を2008年12月1日に設立した。その後、本業をリタイアすることを決め、A社を16年3月31日に退職し、2千万円の退職金を受け取った。そこから4年ほどでB社もリタイアすることになり、20年11月30日で退社、こちらでも退職金を1千万円もらったとしよう。
まずA社を退職した時の退職所得控除額は、勤続年数20年以下なので、「40万円×20年=800万円」となり、A社から得た退職所得は「{2000万円-(40万円×20年)}÷2=600万円」となる。
次にB社も勤続年数20年以下なので、単純に考えるなら退職所得控除額は「40万円×12年=480万円」となりそうだ。しかし、このケースでは4年以内にA社からも退職金を受け取り、両社の勤続期間には重複している期間(7年4カ月)がある。こうした時、B社の退職所得控除額は、その重複期間に相当する控除額を減額しなければならないのだ。減額される退職所得控除額は「40万円×7年(1年未満切り捨て)=280万円」となり、本来であれば480万円を控除できるはずが、実際に控除できるのは200万円となってしまった。退職所得も本来なら260万円で済むはずが、重複期間があったために400万円に跳ね上がることとなった。
このように、間を空けない退職金の受け取りは控除額が減額されてしまう。複数の会社から退職金を受け取るのであれば、5年以上期間を空けて退職することが望ましいと覚えておこう。

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