Vol.0371
<タックスニュース>
三菱自の追加税額7億円 「故意・重過失」で異例の代理納税
燃費データ不正の露見が相次ぐ三菱自動車。燃費性能の訂正でエコカー減税の区分変更が生じ、財務省や総務省から自動車取得税などの追加納税を迫られているが、8月末に行った軽自動車より大きな普通車8車種の燃費訂正に伴う追加納税額は7億円程度になる見通しだ。
高市早苗総務相が9月6日の閣議後の記者会見で明らかにした。三菱自などによると、今回の燃費訂正によりエコカー区分が変更になるのは小型車「ミラージュ」、多目的スポーツ車(SUV)「RVR」とSUV型ミニバン「デリカD:5」のガソリン仕様車の計3車種で、対象台数は計約2万5000台。総務省によると自動車取得税で5億円、自動車税で2億円程度の納税不足が見込まれる。納税不足分の支払いは通常なら対象車を購入した顧客に義務が生じるが、今回は「三菱自による故意・重過失の違反」(国交省幹部)という特殊事例であることから、三菱自が顧客の手間を最小化する形で代理納税する方針。
三菱自は追加納税負担とは別に、8車種の所有者に1台当たり3万~10万円の賠償金も支払う方針。追加納税分を含む三菱自の8車種関連損失は70億円規模に上る見通し。
三菱自は、一連の燃費不正問題の発端となった「eKワゴン」など軽自動車4車種(「デイズ」など日産自動車への供給分を含む)計62万5000台の所有者に対しても、保証金の支払いやエコカー減税追加納税分の代理納税を行う方針を打ち出している。軽と普通車を合計した保証・賠償金額やエコカー減税追加納税額は総額600億~700億円規模の巨費となる見通しだが、三菱自にとってそれらの負担額よりも痛いのは、8月末の追加訂正により自社で生産・販売中の全11車種のうち、正しい燃費だったのはガソリン仕様のアウトランダー1車種のみとなったことに伴うブランド価値の失墜だ。
全国の三菱系販売店は「割安な特別装備車を用意しても顧客に見向きもしてもらえない」(関東地方の販売店員)状況に陥っており、「今買いに来るのは強行に値引きを求めてくる顧客か、三菱グループの従業員か取引先」(同)くらいしかいない。販売不振が続いた場合、結果的に国庫や地方地自体に入る自動車取得税や重量税、自動車税といった自動車関連税収が、かえって目減りする懸念も出ている。
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<タックスワンポイント>
売上や原価が確定していない! 見積金額により節税になることも
商取引上、取引先に商品を引き渡した時点ではまだ販売価額が確定していないことがある。決算を迎えて売価が確定していないのであれば、その時点での売価を適正に見積って、売上に計上しなければならない。その後、確定した売価と見積りの売価が異なってしまったときは、確定した時点の事業年度に差額を修正する。見積売価を低めに設定して売上が計上されていれば、結果的に収益の一部を翌期に繰り延べることになる。
一方で、売価は確定していても、売上の原価となる費用が決算日までに確定していないこともある。この場合も原価を適正に見積って売上原価を計上しなければならない。確定した原価と見積りの原価が異なるときは、その確定した事業年度に差額を修正する。見積原価の設定によっては結果的に節税につながることもある。ただし、見積りがあまりにも現実とかけ離れていると利益調整とみなされてしまうこともあるので、注意が必要だ。
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