<タックスニュース>

政府の税収見積もり  2017年度は強気の57・7兆円

 政府はこのほど2017年度の国の一般会計税収が57・7兆円に上るとの見積もりを発表した。16年度当初予算編成時に見込んでいた57・6兆円を上回る強気な見通しだ。しかし、同時に政府は16年度税収について、年明け以降の円高進行で法人税収が落ち込んでいることを踏まえて、1・7兆円減の55・9兆円に下方修正。足元は減額しつつ、先行きは明るいとの見通しを示した財務省だが、他省庁からは「強気すぎる。政権のことを考えた作為的な数字にしか思えない」(幹部)と驚きの声すら聞こえる。歳出抑制が思うようにできず、そのうえ新規国債発行も増やしたくないという中で税収を確保したいとの思い先行と思われても仕方がなさそうだ。
 17年度の税収見積もりの土台となるのは16年度の減額後の税収見通しだ。ここに来年度の経済成長などを加味して、算出される。12月20日に政府が発表した17年度の経済見通しでは来年度は成長率が実質で1・5%、名目で2・5%。政府の経済見通しは、経済対策の効果などを強めにみているため、多くの場合、民間機関の予測よりも高めに出るうえに、実績との乖離も多い。来年度の見通しでも民間機関の予測よりも高い成長率だったが、財務省はほぼそのまま当てはめている。
 財務省が強気な見通しを示したのは、トランプ次期米大統領の経済政策などへの期待から、足元では急速に円安傾向が強まっているからだ。17年度は企業業績が回復し、税収も再び増加に転じると見込む。麻生太郎財務相も「(為替動向は)予想はしがたいところだが、決して甘いとは思っていない」とするが、永田町界わいでは「減額補正した今年度の二の舞になるのでは」(与党議員)と懸念する見方もある。

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<タックスワンポイント>

親から株式を相続も取得費が不明  譲渡金額の5%で計算

 株式売却による譲渡所得は、売却額から取得費(取得時の時価)と売却手数料を引いて計算するのが通例だ。しかし、相続で取得した株式を売却するときは、売却する相続人が取得したときの時価ではなく、被相続人の取得時の時価を使って譲渡所得を計算する。
 被相続人が株式取得のためにいくら払ったかについては、被相続人が取引していた証券会社が交付する「取引(売買)報告書」に記されている。仮に取引報告書が見つからなくても、証券会社には取引報告書の写しを10年間保存する義務があるので、その期間内なら証券会社に問い合わせれば確認できる。それでも取得時期や価格を把握できなければ、預金通帳や日記帳などの覚え書きで確認する方法も認められる。
 どうしても取得価格が分からなければ、譲渡収入金額の5%を取得価格とみなして申告する。株式の売却価格が300万円ならその5%の15万円が取得費になり、差額に課税されることになる。取得価格が高ければ高いほど売却価格(譲渡益)から差し引ける金額が増え、税額が少なくなることを考えると、本来の取得費が売却価格の5%を下回ることはあまりないので、可能な限り実際の取得価格を調べるようにしたい。

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