Vol.0387
<タックスニュース>
ふるさと納税「駆け込み」に落とし穴 サーバーパンクで寄付できず
任意の自治体に寄付すると住んでいる土地での所得税や住民税が軽減される「ふるさと納税」制度をめぐって12月31日、インターネット上で寄付金での処理を行うホームページにアクセスできない不具合が起きていたことが分かった。不具合によって寄付ができなかった人も相当数いるとみられ、年の瀬の”駆け込み寄付”にとんだ落とし穴が待ち受けていたことになる。
不具合が起きたのは、ふるさと納税の大手ポータルサイト「ふるさとチョイス」とクレジットカード決済で連携している「Yahoo!公金支払い」のサーバー。大みそかである12月31日の午後11時ごろから日付が変わる1月1日までの約1時間、決済ページが開けない、決済処理が完了できない、二重決済されるなどの不具合が頻発したという。アクセスの集中による負荷が原因と見られ、同サイトは年明けの1日、お詫びの文章をホームページ上に発表した。
ふるさと納税の税優遇は、1月1日から12月31日の間に行われた寄付について次の年の住民税などを差し引くため、17年に税優遇を受けたければ16年の内に寄付を終える必要がある。また寄付額には年ごとに上限があるため、ふるさと納税で自治体からできるだけ多くの返礼品を受け取ろうとすると、毎年上限いっぱいの寄付を行う必要がある。年内に上限ギリギリの「駆け込み寄付」をしたいと考える人が増えたことが、サーバーの不具合につながったようだ。
年末ギリギリでなくても12月になって駆け込みの寄付をした人は多いようで、ソフトバンクの子会社が運営するポータルサイト「さとふる」によれば、12月の寄付額は前月の4・2倍に増加、楽天が運営する寄付受付サイトでも、3・5倍に増えたという。
インターネット決済を使えば大みそかの日付変更直前まで寄付を行えるというメリットがあるが、今回のようなトラブルが起きる可能性があることも考えれば、寄付やワンストップ特例の申請はある程度の余裕を持って行うことを心掛けたいところだ。
1月からはさっそく、2017年分の寄付の受付が始まっている。人気の返礼品は早々に受け付けを終了するものもあり、季節の果物などは期間が限定されていることも多い。希望の返礼品を手に入れるため、年明け早々から”今年のふるさと”に悩むのも悪くはないかもしれない。
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<タックスワンポイント>
「小銭納税」どこまでOK? アメリカで「30万枚」納税者が登場
税額が1千万円だったとして、貯めに貯め込んだ小銭だけでその全額を納税することは可能だろうか――。アメリカで、貨幣30万枚で自動車にかかる税金を支払った男性が話題を呼んでいる。米・バージニア州に住む男性がそのような”暴挙”に出た理由は、行政の怠慢に対する抗議だった。
男性は昨年9月に新車を購入し、その際、複数の郡にまたがって4つの家を所有していたため、車両をどの地域で登録して消費税を納めればいいか疑問を持ったという。そこでコールセンターに電話をかけて陸運局につないでもらおうとしたところ、1時間かかってもつながらないため、男性は情報公開制度を利用して陸運局への直通番号を入手した。しかし直通番号に電話をしたところ、返ってきた答えは「あなたがこの番号に直接かけることは許可されていません」という言葉のみだった。
何度もかけ直したあげく望んだ答えをもらうことができたというが、行政の硬直ぶりに憤りを覚えた男性は、課せられた税額約3千ドルを、すべて「硬貨」で支払うことを決めた。12月11日の午前9時に陸運局に運び込まれた小銭は29万8745枚で、職員はそれを数えるのに翌日の朝までかかったという。
男性が重さ702キロにも及ぶ小銭を”納税”するのにかかった費用は、人件費が時給10ドル×11人分、5台の手押し車400ドル、その他の経費に440ドルほど、結局約34万円の税金を納めるために、約11万5千円をかけることとなった。
アメリカの国内法では硬貨もすべて租税公課のための法定通貨であると定められているので、この男性の”納税”も認められたが、日本ではどうだろうか。
日本の国内法に照らしてみると、千円札以上の紙幣については、日本銀行法第46条2項で「無制限に通用する」と規定されている。だが500円玉以下の硬貨については、あまりに多くの数が使用されると保管や計算に手間を要して不便であることを理由に、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の第7条で「額面価格の20倍まで」を限度とすることを規定されている。10円玉なら200円、500円玉でも1万円までが限度ということだ。
ただし同法で規定されているのは、あくまで20倍を超える支払いについては、受け取る側が拒否できるという点だけで、財務省のホームページでは「取引の相手方の了解が得られるならば、それを定めるものではない」と説明している。
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