<タックスニュース>

マイナンバー法改正で発行機関の監督強化  ”出足低調”の責任追及

 マイナンバー制度のシステム障害によって個人番号カードの交付に大幅な遅れが出た問題をめぐり、政府は3月7日、システム運用を担当する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に対する監督を強化する関連法を閣議決定した。
 法案は、J-LISに対して、マイナンバーを取り扱う事務の管理規程の策定を義務化するもの。策定、変更時には番号制度を所管する総務相が認可する。さらに問題発生時には経緯の記録も義務付け、総務相による監督命令や立入検査も可能となる。虚偽報告や検査の拒否に対しては役職員に30万円以下の罰金を科すという。
 高市早苗総務相は、カード交付の遅れを受けて昨年12月に、「ガバナンス強化が足りないのであれば、総務省が主体的にJ-LISの体制に関われるよう、法改正も必要になる」とコメントしていた。
 マイナンバー制度は昨年1月から申請に基づく個人番号カードの交付を開始したが、暗証番号を登録する際にJ-LISのシステム障害によって登録できないという事態が頻発した。このエラーによって一時期は約1千万枚の申請に対して交付できたのは計約230万枚と申請の3割にも満たない状況となっていた。その後、システム改修などを経て障害は解消されたものの、全国的な交付遅れを解消するには11月末までかかった。
 総務省はJ-LISに対する監督を強化するとともに、システム開発に関わった富士通、NTTデータ、NTTコミュニケーションズ、NEC、日立製作所の5社に対しても、計1億9450億円の損害賠償を求めることを決定している。
 個人番号カードは交付開始から1年を経過しても発行枚数が1千万枚足らずと、目標の3割程度にとどまる”出足低調”の状態となっている。J-LISの監督強化に向けた法改正からは、出はなをくじかれた政府の恨み言が聞こえてきそうだ。

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<タックスワンポイント>

消費税のみなし仕入率を複数適用  簡易課税制度の適用区分

 消費税は売上分の消費税額から仕入れ分の消費税額を引いた額を納める。ただし、前々事業年度の課税売上高が5千万円以下の会社は、業種ごとに第1種から第6種まで区分された税率(みなし仕入れ率)に基づいて納付税額を計算する「簡易課税制度」を使うこともできる。
 どの事業区分になるかは、原則としてその事業者が行う譲渡の内容ごとに判断する。例えば、小売業は第2種事業であり、商品の売上に対するみなし仕入れ率はその区分で計算するが、社用車などの資産の売却に対する率は「事業に関する固定資産の売却」として第4種の区分で計算する必要がある。
 なお、雑貨店にカフェを併設するなど複数の事業を組み合わせたビジネスモデルでは、基本的にそれぞれの業種に応じたみなし仕入れ率を適用する。しかし、ひとつの事業の課税売上高が全体の75%以上を占めるなら、その事業のみなし仕入率を全体に適用することが可能だ。

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