<タックスニュース>

続々廃棄されるマイナンバー通知  知らなくても全然困らない?

 マイナンバー制度の個人番号を通知するカードをめぐり、神戸市は3月1日、手元に届いていない2万6千通あまりを廃棄することを発表した。1年以上を経過しても受け取り手が現れないため、保管を取りやめるという。未達の通知カードを廃棄する動きは全国的に広まりつつある。
 神戸市には昨年末時点で2万6631通の未達分が保管されていて、神戸市が送ったカードの3・6%に当たる。このうち3月末までに未達の通知カードについては破棄することを決定した。未達の理由としては、住民票の住所に不在となっているほか、継続して留守状態であったり、受け取りを拒否したりというケースもあるという。
 個人番号が記載された「個人番号通知カード」は、制度が開始する2016年1月に先立ち、15年10月から郵送で全国に配達された。引っ越しなどで宛先不明となったカードは一定期間を経た後、自治体に戻されて保管される。総務省によれば6千万通超が発送されたうち、16年11月末時点で自治体に戻されたカードは135万通に上るという。
 同省は各自治体になるべく未達のカードは保管するよう呼び掛けているものの、保管期間は明示していない。16年7月には、大阪市がすでに8万通弱を廃棄していて、今後も廃棄に踏み切る自治体は増えていくことが予想される。
 通知カードとは別に、申請に基づき発行されるマイナンバーカードについても、交付数も伸び悩んでいる。16年12月27日までに発行されたマイナンバーカードは982万枚で、総務省が掲げた制度開始3カ月で1千万枚、1年で3千万枚という目標とはかけ離れた数字だった。
 政府はマイナンバー導入の理由の一つに「国民の利便性向上」を挙げているものの、実際には逆で、確定申告やふるさと納税の特例申請の煩雑さが増しただけという声も出ている。通知カードの未達の多さから「自分の番号を知らなくても全然困らない」という納税者の本音が透けて見えるようだ。

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<タックスワンポイント>

貴金属の税金はどうなる?  長期所有と短期所有で大きな差

 金の価格相場の高騰が続いている。金価格の国際指標となるニューヨーク市場の先物は2月上旬に一時1トロイオンス1246ドルまで上昇した。2016年12月の安値に比べ1割強上がった。東京商品取引所の円建て金先物は、円安傾向もあって2月中旬に一時、約7カ月ぶりの高値をつけた。
 報道によると、一部の地金商では2月に入って店頭の持ち込みが16年12月の3倍に達しているという。トランプ米政権の誕生後、日経平均も不安定だ。そうであれば金を売買しようと考える人が多いということだろうか。また中東の緊張や欧州の混乱を警戒したリスク回避の買いで金価格が上がり、金製品の含み益が膨らんでいるという。
 では、街中にある金・プラチナ買取店で金を売った場合の税金はどうなるのだろうか。
 所得税の計算は、金を売却するものが金地金(インゴット・金塊)であるか、貴金属ジュエリー(指輪など)であるかで所得区分が分かれるので注意が必要だ。
まず金地金の売却では、売却の状況に応じて課税される所得区分が異なる。買取店での売却では、その場1回限りの売却とみなされ、「譲渡所得」に区分される。また事業として売買している場合には「事業所得」、営利を目的に定期的に売買をしている場合は「雑所得」として課税される。
 そして貴金属ジュエリーを売却すると、「生活用動産」の売却に該当することになり、「1個または1組の価格が30万円以下」では非課税となる。30万円を超えると、金地金の売却同様に取引状況に応じた所得区分で課税されることになる。
 金地金を店頭で売却し、譲渡所得として課税されるケースを考えてみたい。譲渡所得は他の譲渡所得とあわせて年間50万円の特別控除枠があり、特別控除枠を超えた部分が譲渡所得となる。その場合、他の所得と合算する総合課税の対象となる。さらに譲渡所得は所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」、5年以内の「短期譲渡所得」より2分の1に軽減される。
 5年以内に売却した場合は、「売却価額-(取得費+売却費用)-50万円(特別控除額)」で計算される。4年前に500万円で購入し、600万円で売却したとすると、譲渡所得は「600万円-500万円-50万円」で、50万円となる。
 購入後5年超で売却した場合は計算が変わり、「{売却価額-(取得費+売却費用)-50万円(特別控除額)}×1/2」で計算される。
 6年前に500万円で購入し、600万円で売却したとすると、譲渡所得は「(600万円-500万円-50万円)×1/2」で、25万円となる。

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