<タックスニュース>

国境税は見送り  トランプ大統領が税制案を提示

 米国のトランプ政権はこのほど、税制改革の基本方針を公表した。法人税率の大幅引き下げなど選挙時の公約を盛り込む一方、国外からの輸入品を課税強化する「国境税」は見送られ、日本企業にとって直接の影響は避けられた形となった。
 法人税改革では、現在35%となっている連邦法人税率を15%まで一気に引き下げるとした。米国の法人税は先進国のなかでも際立って高いため、大型減税で企業の誘致を図りたい考えだ。
 個人への所得税でも、最高税率を39・6%から35%に引き下げる。7段階に分かれている税率構造も所得に応じて3段階へと簡素化する方針だ。基礎控除枠も拡大し、選挙時の公約ほどではないものの過去最大規模の大型減税で支持を固めたい狙いがある。
 ブッシュ政権で一度廃止され、オバマ政権時に復活した相続税は、再度の廃止を掲げた。同時に株式の譲渡益にかかる税金についても税率を引き下げ、富裕層への配慮も示した。
 日本企業にとって最大の懸念だった輸入品への課税強化は見送られることとなった。輸入コストの上がる米国内の小売業界などからの反発を恐れたためと予想される。
 トランプ政権が史上最大規模の減税を謳う一方で、財源については見通しが立たないのが現状だ。法人税率の引き下げだけでも税収減は年間25兆円ほどになるとみられ、減税による景気刺激だけで、政権の思い描くとおりの増収カーブを描くかは未知数だろう。また今回の基本方針は今後議会での審議を経るため、有権者向けの減税だけを打ち出した改革案を実現できるかは、今後の調整次第となりそうだ。


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<タックスワンポイント>

相続手続きは早いほど低コストに  不動産の名義変更はすぐに行うこと

 相続発生から数年。現金などの分割は終了しているが、自宅の土地、建物の名義は父のままになっている。被相続人の妻が自宅不動産に住み続けている場合は特に支障はないが、不動産を売却したいとなれば、相続による名義変更が必要となる。
 不動産の名義変更は法務局への申請など複雑な手続きをしなければならず、後回しにしがちである。しかし、この不動産の名義変更を行わずに放置しておくと、さらに次の相続が派生してしまうこともあるので要注意だ。必然的に相続人は増加し、権利関係が複雑になるとともに、遺産分割協議に同意してもらうための労力が増える。一人でも同意が得られなければ、遺産分割の調停・審判をすることとなる。しかし相続税の額に比べて、弁護士費用などのコストがかかってしまい、結局動かせず、そのままにしている土地と建物が往々にして存在する。
 相続人名義への変更は、早ければ早いほど、相続手続きは簡単、低コストとなる。

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