<タックスニュース>

2016年分確定申告  個人の申告所得40兆円超え

 国税庁が5月31日に公表した2016年分の所得税や贈与税の申告状況によると、所得税を納めた個人が申告した所得の合計額は40兆円を超え、08年のリーマンショック発生以降で最高を記録した。また土地などの譲渡所得も前年より1割増え全国の地価が上昇傾向にある状況を反映した結果となった。
 16年分の所得税の確定申告書を出した人は2169万人で、前年から約18万人増えた。そのうち、所得税の納税額のある人は637万人だった。特筆すべきは所得金額で、申告納税額のあった637万人の所得を合わせると40兆572億円となり、リーマンショックのあった08 年(39兆5940億円)以降で最高を記録した。円安株高基調のなかで富裕層を中心とする個人所得が増加してきたことが、その背景にあると見られる。納税額は前年比3・1%増の3兆621億円だった。
 特に著しい伸びを見せたのが、土地や建物の譲渡所得だ。49万5千人に譲渡所得があり、所得の合計額は4兆4652億円だった。前年から1割伸び、7年連続で増え続けていることになる。一方で申告人員は前年比1・2%と微増にとどまっていることから、土地持ちが増えているというよりは、不動産価格の高騰がそのまま譲渡所得の増加に結びついている状況ということだろう。
 土地の譲渡所得が伸びる一方で、株式の譲渡所得は所得のあった人が前年比36・3%減と大きく落ち込んだ。昨年初頭の中国市場の混乱から、英国のユーロ離脱、米のトランプ大統領誕生など、株価を混乱させる出来事が多かったことが反映したと見られる。翌年以降へ譲渡損失を繰り越した人も前年から3割以上増えた。
 一方、所得のあった1人当たりの金額は前年比49・7%増と大幅に増えていることから、株式市場では少数の「勝ち組」がさらに富を増やした1年だったと言えそうだ。

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<タックスワンポイント>

多額の葬儀費用を少しでも取り戻したい  国民健康保険は自治体ごとに金額に差

 葬儀や埋葬のための費用は、多少ではあるが国などから支給を受けることができる。
 自営業者が加入する国民健康保険からは「葬祭費」が支給される。その額は自治体によって異なり、おおむね1万円~7万円。自治体によっては、他の名目で補助金が出る場合もあるので、確認しておきたい。
 そしてサラリーマンや会社役員などが加入している健康保険からは、その加入者によって生計を維持していた人に「埋葬料」が一律5万円支給される。同様に、加入者の家族が亡くなった場合は、加入者に「家族埋葬料」として一律で5万円が支給される。健保組合によっては埋葬附加金として埋葬料とは別に数万円を受け取れることもある。
 また、身寄りのない加入者が亡くなるケースでは、実際に葬儀を行った者に「埋葬費」として葬儀代や火葬代などの実費に対して、最大5万円まで支払われる。前出の「埋葬料」と区別された言葉を使用しているので注意したい。
 一方、労災保険の加入者が業務上の理由で死亡すると、労災保険から「葬祭料」が支給される。この支給対象は、必ずしも遺族とは限らないのがポイントだ。会社が社葬として葬儀を行うと、会社に支給される。葬祭料は健康保険の埋葬料などとは異なり、31万5000円に給付基礎日額の30日分を加算した額と、かなり手厚い。この額が給付基礎日額の60日分に満たなければ、給付基礎日額の60日分となる。給付日基礎額とは原則として労働基準法の平均賃金に相当する額としている。要するに、最低でも給付基礎日額の60日分は支給されるということだ。労災保険は葬儀をした翌日から2年以内に申請手続きをすることと定められている。

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