<タックスニュース>

日本の所得税は高いのか?  米で超高額所得者の新区分を検討

 米下院のライアン議長は10月4日、所得税の税制改革案として、超高額所得者向けの税率区分の設定を検討していることを明かした。トランプ大統領が9月提示した所得税の改革案では、現行7段階(最高税率39・6%)となっている税率構造を3段階(同35%)にまで引き下げるとしていたが、さらに1区分を追加することで、「減税の効果を真に中間層のものとする」と語った。超富裕層への課税強化はトランプ大統領の支持基盤である労働者層の支持強化ともなることから、一定の現実味を帯びた案と言えそうだ。
 ひるがえって日本の所得税を見ると、現行制度では所得に応じて5%から45%の7区分となっている。トランプ大統領の掲げた3段階ほどではないものの、これまでの所得税の歴史で最も簡素な4段階だった時代もあるが、わずか8年ほどで終わっている。
 財務省の公表する所得税の税率構造の推移をみると、1974年の所得税はなんと19区分で、最高税率は75%だった。住民税も合わせると、実に所得のうち93%が税金として取られていた。その後、所得税の税率構造は複数の改正を経て簡素化されていき、1999年には前述のように4段階、最高税率も37%とかなり減税されている。住民税も減り、両者を合わせた最高税率でも50%と、30年ほどで所得税負担はほぼ半分になったわけだ。
 その後ふたたび増税傾向に転じ、現在の住民税も合わせた最高税率は、所得4千万円を超える人で55%となっている。地方税も合わせた税率で世界主要国と日本を比べてみると、55%という税率は、米国52・3%やドイツ47・48%と比べて高いものの、所得2010万円以上で最高税率45%を課される英国に比べれば軽課であるともいえ、「まあまあ高い」というのが実情と言えそうだ。

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<タックスワンポイント>

タダでも譲れない土地に固定資産税  最後の手段は再評価額の申し立て

 国土交通省が今年発表した全国の地価公示価格によると、住宅地の全国平均は9年ぶりに下げ止まったそうだ。実際には東京などの都市部の地価が上昇して全国平均を引き上げているだけのようで、地方では地価の下落が続いているところが多い。
 問題は、土地が売れなくなっていることだ。全国各地で、土地の評価額が実勢と乖離する事例が頻発している。九州のある地方都市に住む40代女性は、大規模工場に近い住宅地の敷地(約400平方メートル)を相続した。
 自分が暮らす意思もないため、不動産業者を介して売りに出しているが、立地が悪くなかなか買い手が見つからず、数年前からは「タダでもよいから譲りたい」としているが、それでも引き取り手は現れない。
 市から届く課税明細書には、土地の固定資産評価額が約350万円とあり、固定資産税・都市計画税の合計は4万円となる。更地であるため、課税標準が評価額の6分の1になる住宅の特例も受けられない…。
 どうしても売れず、固定資産税に悩んでいるのであれば、各市町村にある「固定資産評価審査委員会」に、評価額の不服を申し出るのもひとつの策だ。ただし、評価額が覆る可能性は極めて低い。個別でなく、国レベルの対策が必要な問題となっている。

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