<タックスニュース>

社員の不正は会社の「所得隠し」  バンダイ社員が2億円着服

 玩具やゲームなどを手がけるバンダイナムコホールディングスは10月18日、玩具子会社バンダイの元従業員が同社から約2億円を詐取していたことが分かったと発表した。東京国税局の税務調査で発覚した。同社は元従業員を17日付で解雇し、刑事告訴を検討しているという。
 元従業員の男は同社で2015年から17年にかけてイベントの企画や運営を担当した際に、取引先に便宜を図り、支払った金の一部を振り込ませて受け取っていた。およそ2億円を受け取り、飲食費などに使ったという。
 会社に隠れて社員が着服した金額は、税務上は会社の「所得隠し」に当たる。さらに故意による「仮装・隠ぺい」に該当すると認定されることがほとんどで、加算税のうちでも最も税率の高い重加算税をバンダイも課される可能性が高い。資産を社員に私的流用されたことに加え、その責任を会社が負わされたことになるとは、まさに”泣きっ面に蜂”と言えるが、国税にとっては通常処理と言える。
 大手ゼネコンの竹中工務店の社員が約4600万円を着服したことが発覚した際には、竹中工務店に重加算税を含めた追徴税が課された。同社は「ミスや不正を見抜けなかったことは大変遺憾だ」とコメントし、追徴税額を全額納付し、元社員の男性を刑事告訴した。過去にも、07年にフジテレビで社員による着服が発覚して仮装・隠ぺいを伴う所得隠しと認定された例や、12年に東芝の子会社で元社員による9億円の着服が税務調査で発覚して重加算税含め2800万円を追徴された例など、会社のあずかり知らぬところで社員が着服した金額に対して、国税が「仮装・隠ぺい」を認定して重加算税を課した例は数多い。
 会社としての対処法は、竹中工務店やバンダイのように着服した本人に訴訟を起こすことがあるが、個人に払いきれる金額でないことがほとんどで、全額を取り戻せる可能性は低い。会社にとっては資産を私的流用された挙句に重加算税まで食らうという散々な結果で、できることと言えば着服や横領が起きないよう普段から相互チェック体制を整備しておくしかないだろう。

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<タックスワンポイント>

冬のボーナス、源泉徴収でのポイント  前月の給与不払いか多額の賞与は注意

 冬のボーナスの時期がやってくる。会社としては賞与の源泉徴収で気を付けなくてはならないポイントがある。前月に給与を支払っているとき、またはボーナスの金額が前月給与額の10倍を超えているときは注意が必要だ。
 給与を支払うときに源泉徴収する税額は、支払いの都度「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求める。税額表には「月額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」があり、ボーナスや年末手当、期末手当といった名目で定期の給与とは別に支払われるものには「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」を用いる。
 しかし上記のふたつのケースに該当するときは、ボーナスの支払いであっても「月額表」を使う。通常は、前月の給与から社会保険料などを差し引いた金額を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめ、税率(賞与の金額に乗ずべき率)を求める。そして「賞与から社会保険料等を差し引いた金額×税率」が賞与から源泉徴収する税額になる。
 前月に給料を払っていない場合は、「賞与から社会保険料等を差し引いた金額×6分の1」を月額表に当てはめ税額を求め、それを6倍した額が源泉徴収する税額となる。
 賞与が給与の10倍超となる場合は、「賞与から社会保険料等を差し引いた金額×6分の1」と「前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額」を足した額を月額表に当てはめ税額を求める。その税額から「前月の給与に対する源泉徴収税額」を差し引き、これを6倍した額が賞与から源泉徴収する税額となる。
 どちらも賞与計算期間が半年超なら(賞与−社会保険料等)÷12として同方法で計算。求めた額の12倍が源泉徴収税額だ。

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