Vol.0451
<タックスニュース>
やっぱり他にもあった 岐阜市も「ふるさと納税」控除漏れ
岐阜市は5月22日、昨年にふるさと納税を利用して寄付を行った1253人に対して、税額控除の適用を忘れるミスがあったことを公表した。ふるさと納税の控除ミスは東京都渋谷区でも発覚したばかりだ。岐阜市だけでなく、同様の税優遇の適用ミスは全国で放置されている恐れがある。面倒でも税優遇がしっかり適用されているか、一度は確認しておきたい。
岐阜市は5月16日に、納税者12万7406人分の住民税税額決定通知書を市内2万1400事務所に発送したところ、18日になって納税者から、「ふるさと納税をしたのに税額控除が適用されていない」との連絡があったという。改めて調査をすると、1255人について制度の適用漏れがあり、うち1253人に対して過大な税額を通知していた。
適用漏れの対象となったのは、確定申告が不要となる「ワンストップ特例」の利用者だ。同制度では、寄付を受けた自治体から寄付者が住んでいる自治体に宛てて特例適用の通知書が送られ、住んでいる自治体は通知書に基づいて税優遇の適用を行う。岐阜市では、寄付先の自治体から送られてきた通知書をダンボール箱に入れて保管していたが、4箱のうち1箱が別の場所で保管され、そのまま放置されて処理が行われなかった。市は該当者に謝罪の文書を発送し、7月以降に相当額を控除することで調整を行うとしている。
渋谷区のケースでは、担当者の引き継ぎ漏れがあり、電算処理の委託業者に誤ったデータを渡したことが原因だった。ただしその後、税額決定通知書を発送する段階になって、内部でミスに気付いている。一方、今回の岐阜市は、納税者が控除額を確認していなければミスが放置されたまま過徴収が行われていた可能性もある。また続けて発覚した2つの控除漏れでは、どちらも対象は「ワンストップ特例」の適用者のみだったが、住民税から控除されるのは確定申告をする人も同様であり、経営者などの高所得者でも過徴収に遭う恐れは十分にあるところだ。
ふるさと納税の控除額は、毎年この時期に送られてくる住民税の税額決定通知書を見れば確認することができる。ただしふるさと納税単体の控除額が独立して記載されているわけではなく、他の寄附金控除などと合算されているため、一見するだけでは控除が適用されているか分かりにくいのが実情だ。
税額決定通知書は自治体によっても細部が異なるが、市町村税や道府県税の欄に「寄附金税額控除」の欄があれば確認は比較的簡単だ。ふるさと納税以外に寄付をしていなければ、その控除額はそのまま、ふるさと納税の控除額となる。
ただし多くの自治体では、ふるさと納税に加えて住宅ローン控除や調整控除なども全て含めた「税額控除額」として記載しているので、そうなると計算が難しくなる。住宅ローン控除はどれだけ差し引かれるかを把握していることも多いだろうが、複雑なのが「調整控除」だ。調整控除は、所得税と住民税で控除額に差が生じないよう住民税の控除額を上乗せする制度で、課税所得や配偶者控除の有無などによって額が変動する。おおむね所得の多い人は計算が複雑になるので、顧問税理士などに頼んでチェックしてもらうのが得策だろう。
自治体が税額を計算して通知してくる賦課課税方式であっても、近年多発する固定資産税の過徴収を見るにつけ、計算ミスはもはや「起きて当然」と言う状態だ。せっかくのふるさと納税で優遇を受けられないことのないよう、一度は自身の税額決定通知書を確認しておきたい。
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<タックスワンポイント>
「情報」の謝礼を損金算入するポイント 料亭での聞き込み料も情報提供料となるか
情報提供を行うことを業としている者に支払う情報提供料は、モノがモノだけに、その対価は限りなく交際費に近づくが、一般に、税務上でも「情報提供料」として損金に算入することが可能だ。しかし、情報提供のプロではない者に支払う情報提供料を損金扱いにするためには、クリアしなければならないハードルがいくつかある。
まず、その支払いがあらかじめ締結された契約に基づくものであること、そして提供を受ける役務の内容が契約などで明らかにされており、実際に提供を受けていること、さらに情報提供の内容に照らして支払った金額が妥当であることだ。
例えば、政界や財界のみならず企業情報にも通じている高級料亭や高級クラブの従業員から客の動向を知らせてもらうことで情報提供料を支払うとする。この場合は、情報の提供内容が特に定められておらず、情報提供自体が現実に行われているか確認が取りづらいため、正当な取引とは認められず交際費扱いとなる可能性が高い。また、得意先や仕入先など取引先の従業員に対する支払いは交際費扱いになる。
会社としては損金算入限度額が決まっている交際費ではなく、なんとか全額損金算入が可能な「情報提供料」に持っていきたいところだ。
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