<タックスニュース>

寒川町のふるさと納税  寄付金額が前年の145倍に

 任意の自治体に寄付をすると税優遇を受けられる「ふるさと納税」を巡り、神奈川県寒川町が寄付金の5割の価値がある旅行券を返礼品にして、1カ月で前年度の145倍に当たる寄付を集めていたことが分かった。現在、同町は旅行券の返礼を取りやめている。
 寒川町は2018年2月に町のブランド化戦略をスタートさせ、町の認知度向上策の一環として、10万円、30万円、50万円、100万円の寄付にそれぞれ寄付額の5割に当たる旅行券を用意した。3月1日に受け付けを始め、21日に一旦締め切ったが、反響の大きさを受けて27日から30日にも追加で受け付けた。約1カ月で同町に寄せられた寄付金は約15億円で、ほぼ全ての寄付者が旅行券を返礼品に選んだという。
 同町は2015年にふるさと納税の活用を始め、特産の花や冷凍たい焼きなどを返礼品に用意してきたが、15年度の寄付総額は約850万円、16年度は1030万円だった。旅行券によって、1カ月弱で前年1年間の145倍に当たる寄付を集めたことになる。
 ふるさと納税の制度では、一定額までの寄付なら手数料2千円を除く全額が住民税などから控除される。そのため、寄付金に占める返礼品の価値が高いほど、寄付者は”利益”を得ることになる。高返礼率の商品券などに高額納税者の寄付が集中したことから、総務省はたびたび返礼品に換金性の高いものを送らないよう自治体に呼び掛け、「返礼品は寄付金額の3割まで」とする異例の要請を行ってきた経緯がある。
 町は総務省の”基準”を超える返礼品を用意したことについて、「野田聖子総務相が『自治体に任せるのが当然』と発言したこともあり、ルールを破ったとは思っていないが、モラル面で行き過ぎたかもしれない」と話しているという。

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<タックスワンポイント>

非常用食品の損金計上は配備時に全額  1点10万円の備品は減価償却資産に計上

 東日本大震災の発生以降、食糧やヘルメットなどを災害への備えとして設置している企業が増えている。いざというときのことを考えれば働く社員にとっても安心だが、役員・従業員全員分となると、経費としては結構な金額になり、当然ながら損金計上したい。ただ、食料品などは10年から20年も保存できるものもあり、そうなると経費計上の時期も気になるところだが、その時期は購入時なのか、それとも実際の使用時なのか。
 国税庁が公表している「非常用食品」に関する資料によると、食料品は「繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつもの」であり、さらにその効果が長期間に及ぶものであったとしても、減価償却資産や繰延資産に含まれないことから、購入時(配備時)に損金計上してよいことになっている。仮に、その食品が棚卸資産の「消耗品で貯蔵中のもの」であったとしても、災害時用の非常食の備蓄であれば認められる。
 さらに、防災用のヘルメットや毛布なども同様に消耗品費として全額購入時に損金計上できる。ただし、これらは1点の単価が10万円以上のものであれば減価償却資産として資産計上しなければならない。なお、オートバイヘルメットメーカー大手のアライが市販しているモデルの最高級品でも1点6万円台、陸上自衛隊の使用する迷彩色のヘルメットも1万円代で売られていることをみても、10万円以上のヘルメットを見つけることはなかなか困難だろう。
 そもそも従業員が1千人以下で資本金1億円以下の中小企業であれば、取得価格30万円未満の減価償却資産は年間300万円を限度に損金にできる「少額減価償却資産の特例」の適用が可能なので、防災用品の購入費が損金不算入となるケースは少数なのかもしれない。
 備蓄推奨品の範囲は各省庁によって異なるが、おおむね2週間程度、政府オンラインでは「1週間分以上の備蓄が望ましい」としている。なお、一人分の1日の飲料水の目安は3リットルで、1週間で21リットルとなる。
 備えあれば憂いなし。会社としてもできる限りのことはしておきたい。だが、いざというときに民間にできることには限界がある。安全・安心な防災都市をつくるため、つねに行政・政治に対して監視の目を光らせ、予算を有効に使わせるようにしたい。

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