<タックスニュース>

不祥事つづきの年金機構  首相周辺からは解体論も

 日本年金機構は6月4日、データ入力を委託した情報処理会社のミスで年金の過少支給が生じた問題の再発防止策を発表した。機構本体のずさんな管理や、欠落した当事者意識を抜本的に改善できるのか注目されるが、不祥事にまみれて「時の政権の鬼門」と揶揄される存在だけに、安倍晋三首相の周辺からは解体論も漏れる。
 機構は2017年8月、年金受給者が所得税の控除を受けるために必要な申告書のデータ入力を情報処理会社のSAY企画(東京都豊島区)に委託した。しかし2人1組体制で手入力で作業するなどの契約内容が守られず、作業員も800人のはずが約130人だけ。その結果ミスが相次ぎ、2月には約10万4千人に計約20億円も少なく支給することになった。SAY企画は、無断で中国の業者に約500万人分の氏名の入力などを再委託していたことも判明し、個人情報が流出した恐れがある。
 外部の有識者でつくる調査委員会(委員長=安田隆二・一橋大学大学院特任教授)は、委託先に適正な業務を促す方法として、機構が用意した場所で作業させる「インハウス型委託」の推進や、入札では価格だけではなく技能や法令遵守の姿勢なども評価する「総合評価落札方式」の徹底を挙げた。
 一方で機構内部に対しては、問題の速やかな情報共有や人材の育成などを求めた程度で「危機意識を強くあおる内容ではなかった」(自民党幹部)。機構職員は17年10月の時点で作業の遅れなどを把握して担当理事に報告していた。しかし「他の委託先の選定に時間がかかる」と判断し、業者を切り替えなかった。理事長にも早期に報告しなかった。
 厚生労働省は機構に業務改善命令を出す方針を見せている。安倍首相の側近は「特に納税が絡む不祥事は、対処を間違えると批判が沸騰しかねない」と危機感を抱いている。

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<タックスワンポイント>

上場株式は4つの終値で相続税評価  3カ月の各月の平均値も算出

 相続財産のうち、取引価格が公開されている上場株式は時価が明確であるため、相続税評価額の算定に専門的な知識は不要だ。ただし上場株式の価格は毎日変動しているので、いつの時点の価格を評価額とするかという点は問題になる。
 相続した上場株式の評価の時期は、他の財産と同様に、原則では被相続人の死亡日の最終価格(終値)で判断する。ただし、(1)死亡した月の毎日の終値の平均額、(2)死亡した月の前月の毎日の終値の平均額、(3)死亡した月の前々月の毎日の終値の平均額――の3つも併せて判断し、最も低い価格を相続税評価額とすることができる。上場株式はストップ高やストップ安があれば1日で大きく動くだけに、4つの「終値」は相当の差が生じやすい。
 なお、上場株式の相続税評価額の算定に使う「終値」は午後3時の取り引き終了時点の価格を指す。相続開始日に証券取引所が休みで取り引きがなければ、相続開始日に最も近い日の終値を使う。すなわち、被相続人の死亡が土曜なら金曜の終値、日曜なら月曜の終値を採用することになる。

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