<タックスニュース>

確定拠出年金  平均利回りは3.25%

 運用次第で将来受け取れる額が変わる「確定拠出年金」の、2017年度の平均運用利回りは3・25%だった。格付投資情報センターが大手運用管理会社を対象に集計したもの。国内外の株高基調に加え、国内債券も堅調だったことから、昨年より0・09ポイント伸びた。
 確定拠出年金は、毎月決まった額を拠出し、それを元手に株式や国債などを個人がそれぞれ運用する年金制度のこと。運用による損益が将来受け取れる給付額に反映される。一方、国民年金や厚生年金などに代表される従来の年金制度は、将来どれだけの給付額を受け取れるかが確定しているため、「確定給付年金」と呼ばれる。
 加入者全体の平均利回りは3%強だが、それぞれの利回りには差があるようだ。17年度に10%以上の運用成績を出した加入者が全体の5%いる一方で、約4割の加入者は「0~1%」にとどまった。あくまで年金であるため、資産目減りのリスクを避けて元本保証型商品のみで運用した人が多かったことが理由と見られる。
 確定拠出年金自体は2001年に導入された制度だが、当初は加入条件が厳しかったこともあり、なかなか普及しなかった。しかし安倍政権の「貯蓄から投資へ」のスローガンのもと、加入対象が大幅に拡大されるなどの見直しが行われた結果、加入者は06年の173万人から10年間で3倍以上に増加している。加入企業数でも、国が掲げていた「20年までに2万社」という目標を大きく上回り、今年3月末で3万社を突破した。
 加入者が急増している背景には、少子高齢化が進むなかで、これまでの確定給付年金だけでは老後の生活を不安と考えている人が増えていることはもちろんだが、確定拠出年金が持つ税制面でのメリットも大きい。払い込んだ掛金は全額が所得から控除され、投資運用の結果として得た利益も、利息、配当、分配金、売却益のすべてが非課税となる。ここが通常の株式投資と大きく異なる点だ。
 また年金として受け取る時には、NISA(少額投資非課税制度)とは異なり所得税自体はかかるものの、公的年金等控除として一定額を所得から控除できる。一時金として受け取った時にも退職所得控除を受けられ、多くの税制面でのメリットが加入者を伸ばす要因となっている。
 企業側にもメリットがある。将来の給付額が決まっている確定給付型の企業年金では、積立金の運用に失敗するなどで給付額を確保できなくなれば、会社がその差額を補てんする義務が求められる。その点、確定拠出年金は、会社は月ごとの決まった掛金を拠出してしまえば、後の投資運用は個人の責任だ。運用結果に責任を持たずに済み、長期的な補てんリスクに備えなくてよいことは、会社にとっての大きなメリットとなる。また会社が負担した掛金はすべて損金に算入することが可能だ。

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<タックスワンポイント>

欠損金の繰戻還付に調査は来る  大抵は机上調査なので諦めずに申請を

 今期が赤字で前期が黒字という場合、前期に納めた税額のうち一定の算式で計算した金額を還付してくれるのが「欠損金の繰戻還付」と呼ばれる制度だ。かつては一定の法人を除いて原則不適用だったが、2009年の税制改正で資本金1億円以下の法人についても使えるようになった。
 中小法人としてはありがたい改正だったが、この欠損金の繰戻還付制度を受けて、払っていた税金を還付してもらうと必ずといっていいほど税務調査があると言われることで、制度の利用を躊躇することも少なからずあるようだ。
 「必ずといっていいほどある」という税務調査の話は実は本当で、法人税法で「税務署長は、還付請求書の提出があった場合には、必要な事項について調査し、法人税を還付し、又は請求の理由がない旨を書面により通知する」と規定されているためだ。
 調査の時期については確定されていないが、還付加算金が申告書の提出期限の翌日以後3カ月を経過した日からかかることになっていることから、それまでに調査があるのではといわれている。
 ただし、勘違いしてはいけないのは、「調査」といっても、通常の税務調査のように、事前通知を受けた後に調査官がやってきて、根掘り葉掘りと聞かれるというものではないということだ。調査はいわゆる「机上」での調査も含まれ、ほとんどの場合で何もなく還付が実行される。問い合わせがあったとしても電話で簡単な質問を受けたというケースがほとんどであるため、「コワい調査がやってくる」というウワサだけを信じて還付を諦めるのはもったいないことだ。

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