<タックスニュース>

軽減税率対応に中小企業の腰重く  政府不信と延期観測も一因

 2019年10月に予定される消費税率10%への引き上げまであと1年に迫った。今回は、食料品など一部の商品で税率を8%のまま据え置く「軽減税率」も導入されるのが特徴だ。業界では複数の税率に対応するためのレジ刷新や店舗での対応マニュアルの作成などが求められるが、日本商工会議所の調査では準備に取りかかった会員中小企業は2割にとどまるなど、準備は順調とは言い難い。
 日商が今夏実施した会員企業向けアンケート調査では、レジ刷新などの準備に既に取りかかったのはわずか2割だった。見積もりを取るなどして専門家に相談はしているが実行に移していない業者を入れても5割を切る水準で、担当者は「準備が遅れているのは明らか」と頭を抱える。
 国が16年から展開する、レジ刷新などへの補助制度を申請した件数も、今年8月末時点で当初想定した33万件の約2割(約8万件)にとどまる。所管する経済産業省は「増税直前に注文が殺到すると、レジ業者が対応しきれなくなり、混乱が生じかねない」と、早めの対応を呼び掛けている。
 ただ、業者の腰が重い一因は、消費税の10%への引き上げが2度延期されてきた経緯だ。小売り大手幹部は「今度も本当に増税し、軽減税率を導入するのかと懐う部分はある。投資をして無駄骨になるのは嫌なので、レジ対応はぎりぎりまで様子見を続ける業者が多そうだ」と打ち明ける。日商担当者も、「政権には、『今度は確実に上げる』となるべく早く明確にアナウンスしてほしい」と望んでいる。


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<タックスワンポイント>

小規模宅地の特例要件は区分を明確に  利用状況で6種類、減額割合は8~5割

 相続税法には、相続財産のなかで事業や居住のために使われていた宅地について、一定の要件を満たせば、その宅地に課税される相続税を減額する「小規模宅地等の特例」という制度がある。宅地の利用状況によって最大で税金が8割も減額される非常にありがたい制度だが、適用要件は意外と複雑で、税理士であっても適用の可否について判断に迷うことが多くあるようだ。
 特例の適用対象となるのは、「事業に使っている宅地」と「住んでいる宅地」に分けられ、さらに事業用宅地は「特定事業用宅地等」「特定同族会社事業用宅地等」「貸付事業用宅地等」と細かく3つに種類が分かれる。特例の適用にあたってはそれぞれ要件が異なり、この時点ですでに難解だが、そのなかでも特に判断が難しい事業用宅地について事例を紹介する。
 被相続人が営んでいた酒屋を取り壊して、相続税の申告期限までに賃貸アパートに建て替えたときなど、全く異なる事業に転業した場合は、特定事業用宅地等として認められない。これが、酒屋をコンビニに変えたのであれば、被相続人の事業の一部を他の事業に転業したにすぎないため、特定事業用宅地等として認められる。
 また、区分所有登記がされている完全分離型二世帯住宅では、分譲マンションと同じ取り扱いとなり、特定居住用宅地等と認められない。被相続人が老人ホームに入居して、居住していた自宅が空き家となったとしても、そこでの居住は継続しているものとして、特定居住用宅地等として認められる。
 ただし、空き家となった自宅とは別に住んでいた親族が住み始めたり、他人に賃貸したりした時は、居住が継続しているとはならないので、特定居住用宅地として認められなくなる。
 被相続人が居住していた宅地が海外に所在していた場合であっても、特例の適用要件にはその宅地等の所在については定められていないため適用は可能となる。
 相続開始の直前における宅地がどの地用区分にあたるかで税額は大きく変わるため、特例の適用にあたっては国税庁のホームページなども参考にして慎重に判断してほしい。

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