<タックスニュース>

南九州税理士会  災害税制基本法を要望

 地震や津波などの被災者に対する税制面からの支援を盛り込んだ「災害税制基本法」の制定などを盛り込んだ意見書を、南九州税理士会(戸田強会長)が作成して4月4日に発表した。年末に決定される2020年度税制改正に向けたもの。甚大な被害をもたらした16年4月の熊本地震以降、同会は災害税制の整備を強く訴え続けている。
 同会が作成した意見書では、20年度税制改正に向けて「最優先すべき事項」として災害関連税制の整備を掲げた。災害時の税制については、17年度改正で災害特例法の常設化が実現したが、意見書は「災害時の現場においては、所得税と地方税の取り扱いの違いによる混乱や、地方行政の対応にばらつきがみられる」として、いまだ被災者にとって分かりやすいものになっていないと指摘。納税者の混乱を避けるために、国税と地方税の垣根を超えた横断的な取り扱いを明確にしておくことが必要だとして、その礎となる「災害税制基本法」を制定すべきとした。
 個別の税目でも、税制面からの被災者のサポートを提案する要望が並んだ。所得税では、「災害のあった日が年始か年末かで所得への影響は大きく異なる」として、雑損控除や災害減免法の適用期間の拡大を求め、所得税・法人税共通では損金算入の申告調整や益金参入時期の緩和など、災害損失特別勘定の法制化を提案した。
 一方、今年からの新規要望としては、30年度改正に盛り込まれ来年分の所得から適用される「基礎控除」の縮減について反対している。

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<タックスワンポイント>

離婚時の年金分割  裁判になれば大抵は半々に

 厚生労働省の人口動態総覧によると、2017年の婚姻件数は60万6866組だったのに対して離婚件数は21万2262組。70年前の1947年は婚姻93万4710組に対して離婚は7万9551組と、婚姻数は約6割に減り、一方の離婚数は2・7倍にまで増加するという結果となった。
 離婚にあたっては、夫婦で共に築いてきたとされる財産は基本的に半分に分けられるが、それは加入してきた年金についても同様だ。対象となるのは、夫婦で加入してきた厚生年金(共済年金)の報酬比例の部分。多い方から少ない方へ与えることになり、分割の方法には「合意分割」と「3号分割」の二種類がある。
 合意分割とは名前のとおり、双方の合意によって分割される制度で、割合は最大で50%とされている。仮に婚姻中の標準報酬額が夫7000万円、妻3000万円で、按分の割合を50%とすると、夫は妻に2000万円を割り当てることになる。もちろん、双方の合意によるものであり、50%はあくまでも最大値ということなので、50%未満とすることも可能だ。しかし、離婚裁判になれば50%以外の判断がされることは極めて稀だ。話し合いで決着がつかなければ半分ずつになると思っていたほうがいい。なお、2007年4月以降の離婚から有効で、被保険者の対象期間は全ての婚姻期間が対象となる。
 一方、3号分割は実際にはあまりないが、これは少ない方(大抵は妻)からのみ申し出ることが可能な制度で、多い方(大抵は夫)の同意は必要とせず、必ず50%で分割されるものだ。ただし、被保険者の期間は2008年以降に限られるため、多くの場合で合意分割のほうが得になる。


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