<タックスニュース>

フェイスブックの仮想通貨「リブラ」  米国が脱税利用を懸念

 仮想通貨(暗号試算)について、米国が「脱税などを助長している」と問題視している姿勢を鮮明にしたことで日本の税務当局が焦りを募らせている。米フェイスブックは来年には仮想通貨「リブラ」の発行を目指しているが、これにつきムニューシン米財務長官は、犯罪に利用される懸念を指摘する中で既存の仮想通貨についても露骨に批判。交換業者への登録制採用や合法的な決済手段との認定に踏み切り、仮想通貨の規制で世界をリードしてきた日本にとって「大きな責任を負わされかねない展開」(財務省幹部)が見えてきたからだ。
 ムニューシン氏は7月15日の記者会見で、リブラについて「マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金調達に悪用される恐れがある」と指摘。「フェイスブックが規制に正しく従うことを証明するには相当の努力が必要だ」とも語り、米当局の認可に時間がかかるという認識を示した。さらに、ビットコインなど既存の仮想通貨を挙げながら「脱税や薬物売買に使われている。国家安全保障上の問題であり、仮想通貨に関わる団体には最も厳しい基準を適用した監督・検査を実施する」と明言した。
 一方、日本で監督にあたる金融庁は「リブラは電子マネーに近い印象で、仮想通貨ではなく送金取り扱い業者として登録すれば済むのではないか」(幹部)と楽観的な見立てを披露。しかし国税庁関係者は「仮想通貨の利用者は投機的な取引で億単位の収益を稼ぎながら税務署に申告せず、脱税しているケースが多い。リブラを甘く見て日本への進出を簡単に許し、もし脱税に利用される事態になれば、米国を中心に世界から仮想通貨全体の監視体制の不備を問われることになる」と頭を悩ませている。

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<タックスワンポイント>

社員の誕生会を損金にする3つのポイント  プライバシーの扱いにも注意を

 従業員のメンタルケアや社内のモチベーションアップの一環として、最近は社員のサプライズ誕生会を行う会社があるそうだ。誕生日を迎えた社員が何も知らされずに会議室に呼び出されると、「ハッピーバースデイ」と書かれたホワイトボードがあって部署のみんなが祝ってくれたり、また出社するとデスクに小さプレゼントがあったりと、それぞれ工夫を凝らしているようだ。
 サプライズ誕生会を企画した経営者の多くが、自身のブログで「大成功!」などと写真とともに報告しており、おおむね好評のようだが、誕生日を祝われた側としては微妙な思いが残ることが多いようだ。
 まず、部署の全員に誕生日が知られてしまうプライバシーの問題や、べたべたした関係への”気持ち悪さ”を挙げる人は多い。「社員は家族だから」などと社長が思っても、昭和の時代ならいざ知らず、現代は社員も同じ感覚とは限らない。また、同じ社内といえども誕生日の公表は個人情報保護の観点から問題になる。良かれと思って開催しても、損害賠償などに発展することもあるので注意したい。
 さらに、誕生会に要した費用を福利厚生費として損金にするためにも交際費と判断されないよう配慮が必要だ。交際費等との区分のポイントは3つあり、まずは支出の目的が文字通り「福利・厚生」にあるかどうかだ。交際費の要件である「接待・供応」に類すると見られれば、交際費とは認められず、損金化に一定限度以上は制限がかかる。
 ふたつ目は、支出する相手が従業員全般であるということだ。営業成績の良い一定の従業員に絞ったものであれば、給与としての側面が強くなり、誕生日を祝ってもらった従業員は所得課税の対象になる。
 そして最後は支出額が福利厚生のために通常必要とされる額であるかどうかということだ。誕生日プレゼントの額について線引きはないが、「社会通念上、通常必要とされる額」かどうかで判断される。
 社員に嫌がられ、そして損金にもできないとなれば切ないものだ。社内の空気と税法をよく読んで取り組むようにしたい。

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