<タックスニュース>

税金18億円のムダ遣い  情報漏えい防止システム廃止

 サイバー攻撃などによる政府の機密情報流出を防ぐため、総務省が約18億円かけて開発したセキュリティーシステムが、各省庁で一度も使われないまま3月末に廃止されたことが会計検査院の調べで分かった。検査院は、各省庁との調整が不十分でニーズを把握せずに開発を進めたことが原因と指摘した。
 総務省は、各省庁の情報システムを集約化した「政府共通プラットフォーム」内に「セキュアゾーン」と呼ばれるシステムを構築。各省庁がインターネットから遮断された環境で機密情報を管理する目的で開発された。セキュリティーを高めるため、機密情報を閲覧できてもダウンロードはできない仕組みにした。
 2015年に日本年金機構がサイバー攻撃によって約125万件の個人情報が流出させた事件をきっかけに、厚生労働省と農林水産省が利用する意向を示していた。17年4月から運用を開始したが、セキュリティーを重視するあまり、機密情報の閲覧はできてもダウンロードができないなど使い勝手の悪さから、厚労、農水両省ともに利用を見送った。他省庁も利用を希望せず、システムは今年3月に廃止された。開発にかかった費用は総額で18億8709万円に上った。
 高市早苗総務相は29日の会見で、「今回の会計検査院のご指摘を重く受け止めて、今後は適切に対応してまいりたい」と述べた。


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<タックスワンポイント>

持ち越すか、NISA年末前の選択  手続き期限を要チェック!

 2015年に少額投資非課税制度(NISA)を始めた人は、12月末でNISA口座の非課税期間が終了する。非課税期間が終わったNISAは、課税口座に移管するか、新たに20年度から始まる5年間の非課税口座に持ち越す「ロールオーバー」を行うかを選ぶことが可能だ。売却するか持ち越すか、どちらが得かを見極めての選択が求められる。
 NISAは、投資して得た利益の全てが非課税となるが、年間の投資額は120万円が上限で、5年間では大きな利益が生まれづらいという側面がある。そこで非課税期間終了時に「ロールオーバー」を選べば、5年間の非課税期間が終わった時点でのNISA口座に残った残高をそのまま翌年から5年間、非課税で投資を続けることができる。しかも元手となる投資資金は17年度税制改正で上限が撤廃され、現在は青天井となっている。
 例えばNISAが開始した15年に当時の年間上限額である100万円で投資をスタートした人が、非課税期間の最終年である19年までに、その額を5倍の500万円まで増やしたとする。そこで500万円を課税口座に移してしまうと、5年間で得た利益400万円は非課税になるものの、今後投資して利益を得た時には、元手500万円との差額に譲渡所得税が課されてしまう。一方ロールオーバーを選べば、改めて20年度スタートのNISA口座に500万円が入り、そこから5年間で5倍の2500万円まで増えたとしても、全額が非課税となる。どこまで増やせるかは腕次第とはいえ、投資期間が単純に倍になるわけだ。注意点としては、ロールオーバーの枠に上限はないものの、その年の投資上限枠をつぶしてしまう点には気を付けたい。つまり120万円以上をロールオーバーすると、その年はもうNISA口座への入金ができなくなる。
 ロールオーバーは元手が増えた時だけでなく、減ってしまった時にも有用だ。非課税期間が終了した時にNISA口座のお金を課税口座に移すと、株などの取得価額はその時点でリセットされてしまう。100万円で買った株が5年間で70万円まで値下がりしていれば、「70万円で買った株」とみなされ、その後100万円まで値戻りした時には30万円分の利益があったとして課税されてしまうのだ。この時にロールオーバーを選べば、取得価額70 万円の株として6年目以降も運用し、元値に戻ったからといって不要な税負担を課されることはない。
 ロールオーバーについては、秋ごろに口座所有者の元へ手続きを行うための書類が届き始めているはずだ。銀行や証券会社によって手続きの期限は異なり、早いところだと11月には締め切ってしまうこともあるので、ロールオーバーを検討している人は手続きを急ぐようにしたい。

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