<タックスニュース>

渋谷区がふるさと納税に一転参戦  季節イベントの有料化も検討

 東京都渋谷区が税金による収支に神経をとがらせ、これまでの姿勢を次々と転換している。2020年度からふるさと納税制度に参加するほか、新年のカウントダウンやハロウィーンなどで訪れる人から料金を徴収するシステムの構築も探り始めた。
 ふるさと納税に対して同区はこれまで、「税の受益と負担の原則に反する」として、純粋な寄付だけに頼り、反対の立場を貫いてきた。しかし区民による他自治体へのふるさと納税に伴う税収減が19年度には23億円に拡大し、20年度にさらに膨らむことが確実となると、「看過できるレベルではなくなった」(長谷部健区長)として、今年7月をめどに寄付の受け付けを始めることにした。初年度の目標寄付額は1億円に設定した。
 方針転換の成否の鍵を握るのは、これまで全国の自治体間で過熱してきた寄付の返礼品だ。同区が検討しているのは、区内のホテル宿泊や飲食店利用、眺めの良いビルを貸し切る権利などの「渋谷体験プラン」だという。19年6月からは寄付額の3割以下の地場産品に限定されるなど返礼品の規制が強まる中での参入だけに、早くも「目玉がなく地味な内容になりそう」(区幹部)と不安視する声が出ている。
 また区は、年末のカウントダウンやハロウィーンなど、多くの人が集まるタイミングで渋谷への来訪を有料化することも検討中だ。19年のハロウィーンでは警備費などに住民税から約1億円回しており、「これ以上は区民の十分な理解を得られない可能性がある」と判断した。別の区幹部は「導入しやすいと踏んでいるカウントダウンまでに間に合わせられるか、関係各所と調整している」と説明している。

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<タックスワンポイント>

税務も複雑なクラウドファンディング  3つのタイプで異なる取り扱い

 インターネット経由で不特定多数の人から資金を調達するクラウドファンディングは、若い層を中心に年々一般化し、すでに市場規模は2000億円に手が届く勢いで推移している。なお、横文字が苦手な読者のために付け加えると、クラウドファンディングの「クラウド」は群衆を意味する「crowd」であり、クラウドコンピューティングなどの「cloud(雲)」ではない。
 さて、新しいビジネス形態を作り出しているクラウドファンディングだが、税務処理に関しては少々複雑だ。まずクラウドファンディングは大きく3つに分類され、それぞれに扱いが異なるので注意したい。
 まずは、通常の売買と同様に扱う「購入型」だ。対象となるモノは未完成の場合が多く、購入者から受け取った金額は前受金として計上し、完成したものを引き渡した時点で売り上げに振り替える。もちろん、通常の売買と同じように消費税の課税取引だ。
 次が、出資者が特定の企業などに出資し、リターンとして金銭(配当や利益の一部)を期待するというもの。資金調達者が個人事業主なら所得税、法人なら法人税がかかる。資金出資者は、出資時には無税となる。
 最後がもっともややこしい「寄付型」で、活動に共感して見返りを求めずに資金を提供するものをいう。被災地や途上国への支援など、社会的意義のあるプロジェクトなどが当てはまる。
 寄付型では、資金を集める者が法人であれば、寄付金は受贈益となり益金の額に算入される。そして個人が個人の提供者から資金を受けた際には贈与税の対象となり(年間110万円の非課税限度額あり)、法人からの提供であれば一時所得として所得税の対象となる(50万円の特別控除あり)。
 なお、金額の流れは千差万別で、購入型であってもリターンの内容が見合っていなければ寄付型と判断されて寄付金課税の対象になることもある。本人がどう呼ぶかではなく実態で判断されるので勝手な思い込みはしないほうがいい。

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