Vol.0001号
<タックスニュース>
自民税調 聴取で火花散る「たばこ税」
自民党税制調査会(津島雄二会長)は、平成21年度税制改正に向けて各部会からの要望の聴取を本格化したが、焦点となっているたばこ税をめぐっては、意見が2つに対立している。
厚生労働部会では、税率の引上げ価格をコントロールすることが未成年者の喫煙防止につながるとし、健康面の配慮を強調して増税を要求。一方、農林部会などからは、売上低迷による葉たばこ農家などへの影響を危惧しての増税反対論が相次いだ。
ここにきてクローズアップされているたばこ税は、当座の財源を手当てできる便利な存在。景気後退が鮮明になり、税制改正も政策減税など景気対策がらみが中心となるなか、国民に広く負担を強いる税目の増税は極めて難しい状況となっている。そこで、財源として当てにできる税金として、たばこ税に白羽の矢が立ったわけだ。与党内では、年間2200億円の社会保障費の抑制は限界にきており、たばこ増税でこれを緩和すべきだという皮算用も始まっている。
これに危機感を強めたJTなどの関連業界は、増税反対の署名活動を展開。こうした業界の意向をくんだ党税調では、巻き返しの動きが激化している。「たばこ増税は葉たばこ農家の生産意欲をそぐ」「町の小さいたばこ屋がどんどん減っている。さらに追い打ちをかけていいのか」と反対論が続出した。
最終的な判断は今後、与党税制協議会に委ねられる。12月中旬の税制改正大綱取りまとめに向けて、与党内の駆け引きは一層激しくなりそうだ。
<タックスワンポイント>
回収できない売掛金 損金計上OKなケースも
売掛金の回収は、キャッシュフロー改善策として有効だが、どうしても回収できないときには切り捨てて損金計上するのも選択肢のひとつ。
売掛金や未収請負金などの売上債権の貸倒れは、いわゆる「形式上の貸倒れ」とされ、法律上消滅したり、全額が回収不能にならなければ原則として損金計上できないような債権とは異なる基準が設けられている。
その形式上の貸倒れに該当するのは2つの場合。ひとつは、継続的に取引していた債務者について、取引の停止、最後の弁済期または最後の弁済時のうち、最も遅い時期から1年以上経過した場合(担保物がある債権を除く)。もうひとつは、法人が同一地域の債務者について有する売掛債権の総額が、その取立てのために要する費用に満たず、その債務者に対し支払いを督促したが弁済がない場合。
これらの形式上の貸倒れを計上する際は、全額を貸倒処理せず、1円以上の備忘価額を残す必要がある。