Vol.0004号
<タックスニュース>
麻生首相 23兆円規模の生活防衛緊急対策を公表
麻生太郎首相は、雇用対策などを柱とする「生活防衛緊急対策」を発表した。派遣社員との契約を打ち切る「雇い止め」など、雇用情勢が製造業を中心に急速に悪化していることに加え、内閣支持率が政権の危険水域とされる20%台にまで低迷したことを受けての発表となった。2009年度当初予算に1兆円の「経済緊急対応予備費」の新設を盛り込むなど、概算要求基準(シーリング)を破る決定も含まれている。
生活防衛緊急対策の事業規模は23兆円で、財政支出を表す「真水」は10兆円とした。そのうちの6兆円は、今年10月末にまとめた追加経済対策での財政支出を重複して盛り込んでいる。残りは雇用対策、地方交付税増額、緊急予備費、住宅ローンなどの政策減税に各1兆円を割り振った。
この対策のなかで、とくに異例とされているのが「緊急予備費」だ。これを盛り込むためには、シーリングを変更する異例の閣議了解を行わなければならない。シーリングは通常、歳出上限をあらかじめ決めることで、与党からの歳出拡大の要望をかわすのだが、今回は首相自らがシーリング破りの禁を犯したことになる。さらに、緊急予備費は補正予算を組まなくとも追加的に公共事業費などを積み増すことが可能。財政規律は大きく緩むことになる。
これに対し、野党から「国会軽視」との批判が上がるのはほぼ確実。そこまでして自在に操れる予算を確保する状況から、選挙対策予備費だと非難する声も出ている。
<タックスワンポイント>
年末に出産 扶養親族増えたら年末調整は?
毎年恒例の年末調整のシーズンになったが、社員のなかには、年末調整の後、12月31日までのところで出産などによって扶養親族が増えるケースがある。
所得税法では、その年の12月31日の状況で扶養親族の数が決まる。となると、年末調整した税額と納めるべき税額が一致しなくなってしまうのだが、そうした場合には、年末調整をやり直すことができる。源泉徴収票を作成・交付するまでに、該当する社員に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらえばよい。また、年末調整をやり直さない場合は、本人が確定申告を行えば還付が受けられる。
このほか、扶養親族が減る場合も同様の申告書を提出してもらい、年末調整をやり直して不足する税額を徴収する。徴収不足税額がある場合の年末調整のやり直しは、翌年の1月末日以降であっても行う必要がある。