Vol.0013号
<タックスニュース>
国直轄事業 地方負担に”反発の狼煙”
国のずさんな公共事業に対し、地方から反対の”狼煙”(のろし)が上がった。国が直轄事業を行う場合、利益を間接的に享受する地元自治体が建設費の3分の1を、維持管理費の45%を負担するのがルールだ。しかし、折からの景気低迷で地方自治体の財政は火の車で、この負担金を拒否する動きが拡大している。
国の公共事業をめぐっては、当初計画が甘く、工事途中で資材高騰などを理由に、事業費がなし崩し的に増大するケースが少なくない。地方の反発は、こうしたずさんな国の姿勢に一石を投じた形で、政府も対応に苦慮している。
口火を切ったのは、就任以来、大胆な緊縮財政路線を敷いてきた大阪府の橋下徹知事。「地方自治体は住民サービスを削っているのに、国の事業はどんどん増える」と国の姿勢を強く批判し、関西空港の連絡橋国有化をめぐる負担金7億円の予算計上を一時拒否した。
整備新幹線をめぐっても、負担増を求められた新潟、福岡、佐賀、熊本の4県が「国の説明が不十分」と拒否する姿勢を示し、国土交通省が対応に追われている。
こうした動きに政府が慌てているのは、負担金をめぐる地方の長年の不満が一気に表面化した事実に加え、今後の景気対策の足かせになる可能性があるためだ。政府は需要創出効果を狙い、公共事業を中心とする追加景気対策を水面下で検討しているが、負担金拒否の動きが広がれば、円滑な執行に支障が出る恐れがある。与党内では地方の負担金をゼロにした新方式の国直轄事業を検討する動きも出始めている。
<タックスワンポイント>
精算課税制度で生前贈与 「特別控除」は最高7千万円
いまもっとも頼れる相続対策といえば、なんといっても相続時精算課税制度だろう。65歳以上の親から20歳以上の子に生前贈与する場合に2500万円の特別控除枠が利用でき、この枠を超える部分にかかる贈与税率は一律20%となる。
さらに、一定の住宅取得、増改築のための資金贈与では特別控除枠は3500万円。いずれも、暦年課税(基礎控除=年110万円)との選択制だ。特別控除枠は、受贈者からみて「贈与者ごと」に使えるため、子どもは両親それぞれから最高3500万円ずつ、合計7千万円分の生前贈与を特別控除枠内で受けられる。
また、同制度を適用した資産の評価は生前贈与時の時価で固定される。公開予定株式や市街化編入が確実な農地など今後値上がりが確実と見込まれる資産や、低評価の賃貸建物など多額の収益を産む資産については、タイミングを見計らって生前贈与しておくと非常に有利だ。