Vol.0023号
<タックスニュース>
「酒税」めぐり自民”重鎮”勢ぞろい
自民党財務金融部会は4月、酒類に関する小委員会を発足した。同21日の初会合で議題になったのは、大手スーパーマーケットの安売り攻勢を前にした、街の酒販業者の経営難だ。出席した議員からは「我々の支持基盤である酒の小売業者を守るため、議員立法なども検討すべきだ」といった意見が相次いだ。
酒税は日本酒で13・8%、ビールで35・6%の税率で課税されており、年間約1兆2千億円の税収を上げる貴重な財源だ。そのため、国では徴税を円滑に行う観点から、酒類小売業者には経営を安定させる目的の保護規制が設けられていた。具体的には、30万都市の主要駅の周辺では、既存業者から50メートル離れないと販売免許を受けられない、といった細かい距離基準などだ。
しかし、1998年の規制緩和推進3カ年計画により、酒販業者の免許規制は2003年9月をもって廃止。議員立法による激変緩和策として、販売額が急速に落ち込んでいる地域は出店規制できる措置が講じられたが、こちらも2006年8月末で失効している。
こうした現状から、9月に任期切れとなる衆院選を控えて、政治の動きも慌ただしくなってきたわけだが、注目されるのは同小委員会の顔ぶれ。小委員長には野田毅氏、顧問に伊吹文明氏、津島雄二氏と、党税調の重鎮が顔をそろえている。ある幹部は「いずれはこの小委員会で酒税の見直し議論もしたい」と話す。酒税は第三のビールの登場を受けて2006年度税制改正で大幅に見直されたきり。税率の高いビールの販売減などの問題も依然として残っている。年末に向けて酒税の見直し論議が再び高まる可能性も出てきた。
<タックスワンポイント>
年金遅延加算金法 2階建てまで非課税扱い
社会保険庁の記録漏れによって未払いとなっていた年金を受け取る場合、遅延加算金が上乗せられることになった。これは、このほど成立した年金遅延加算金法にもとづく措置だ。遅延加算金の対象となるのは、過去5年を超える未払い期間について支払われる年金で、国民年金や厚生年金など「2階建て」までの部分。厚生年金基金などの「3階建て」部分は対象外となる。
遅延加算金の支払対象となる年金受給者は初年度で260万人程度と見込まれており、年額5万8千円の年金支給が15年間未払いになっていた平均的事例では約1万6千円が遅延加算金として支給される見込みだ。なお、同法にもとづいて支払われる遅延加算金はすべて非課税扱い。当初の法案では支払われる年金の種類によって課税、非課税が分かれていたが、審議の過程で修正が加えられ同法にもとづいて支払われる遅延加算金はすべて非課税扱いとされた。