<タックスニュース>

存在感薄い政府税調 選挙ひかえて議論低調

 政府税制調査会(香西泰会長)が4月28日に開かれた。政府税調の開催は2009年度税制改正への答申をまとめた昨年11月28日以来半年ぶり。税制をめぐってはこの間、「景気回復を前提に2011年度までに税制の抜本改正に向けた法制上の措置を講じる」とした中期プログラムの策定と、同内容を付則に盛り込んだ所得税法改正案の立法化というビッグイベントがあった。
 予定される税制抜本改正は、消費増税だけでなく、所得税の控除や税率の見直し、法人税の課税ベース拡大、税率引下げなどを含む大規模なもの。最速で2011年度に実施するとすれば、残り1年半しかなく、政府税調もいまから「抜本改正」に向けた議論を始めよう、というわけだ。
 ただ、同28日の企画会合で決まったのは、技術的な細部の詰めが必要な所得税の「給付付き税額控除」と「納税者番号制度」について、6月に先進地の欧米への海外視察を実施することだけ。
 給付付き税額控除は、肥大化が指摘されている給与所得控除や配偶者控除、特定扶養控除など所得税の各種控除制度の見直し議論の延長で出てきたテーマだ。子育て世代の支援など控除の政策的焦点を絞るには所得控除より税額控除の方が効果的とされる。しかし、税金を払っていない低所得層には控除の恩恵がないため、逆にその分を給付金として支給するもので、ドイツなどで採用されている。
 消費増税や所得税控除の見直しなど政治的にデリケートな案件には、総選挙目前ですぐには取り組めない。政府税調??「開店」はしたものの、当面は技術的な勉強に終始する日程が続きそうだ。

<タックスワンポイント>

事前確定給与が簡略化 届出記載を一部省略

 平成21年度税制改正で事前確定届出給与にかかる届出書の一部省略ができるようになった。事前確定届出給与はあらかじめ税務署に届出をしておけば損金算入が認められる。しかし、届出書の記載事項の多さなど面倒な点も多く、適用関係の評判は良くなかった。これで多少は使い勝手の良い制度になったようだ。
 事前確定届出給与は支給額の決定後、期限までに納税地の所轄税務署長に届け出る必要がある。届出の期限は?その給与に係る職務の執行を開始する日から1カ月を経過する日?その事業年度開始日の属する会計期間開始の日から4カ月を経過する日??このいずれか早い日まで。
 ところが、この届出で記載しなければならない事項は非常に多く、全9項目にもおよぶ。今回の改正で省略されたのは、付表1「事前確定届出給与対象役員の前期の給与」と付表2「他の役員の給与」の記載。5月19日現在、国税庁ホームページにはまだ従来の様式が掲載されているが、「いまから提出するなら付表1、付表2を添付しないで届け出ても問題はない」(当局)としている。

税理士法人早川・平会計