<タックスニュース>

2008年度税収激減 「リーマン余波」鮮明に

 2008年度の国税収入が、昨年12月末の補正予算で下方修正した46兆4290億円から2兆円以上も下振れする見通しになった。金融危機で法人税収が2兆円規模で悪化するうえ、所得税も数千億円規模で減収するとみられているためだ。
 2008年度の国税納付は、上場企業の大半を占める3月決算企業が法人税を納める今月末まで続く。6月いっぱいかけて各地の税務署で集計し、7月頭に速報値が発表される。
 2008年度の国税収入は、2007年12月に編成した当初予算段階では53兆5540億円と5年連続の増収を見込んでいたが、リーマン破たんを受けて、2008年12月に7兆円強、下方修正した経緯がある。実際の税収はこれをさらに下回り、当初比では10兆円規模の大幅な減収となる。国税収入がバブル崩壊後の最低を記録した2003年度(43兆2824億円)を下回る可能性も出てきた。
 最大の誤算は法人税の落ち込み。当初は16兆7110億円の税収を見込んでいたが、実績は9兆円前後まで落ち込みそうだ。
 さらに2008年度の法人税収の落ち込みは2009年度の税収にも大きく影響する。3月決算企業は、9月中間決算を受けた11月の納税段階で、予定納税額の半分を先納している。予定納税の納付後に業績が急速に悪化し、通年の法人税額が9月に先納した分を下回ってしまった場合は、翌年度の6月、7月に還付申請する仕組みだ。この結果、2008年度分のマイナスの法人税収が2009年度に持ち越されて発生することになり、財務省内では2009年度の国税収入は、40兆円すれすれまで落ち込むとの見方も出ている。

<タックスワンポイント>

生保解約で資金調達??”取崩し”税務は要注意

 経営環境で社員などへの退職金の原資にする目的で加入していた生命保険を解約して、会社の運転資金に回すケースが目立つ。保険金を減額して現金を捻出する場合は、「保険契約の一部解約」と考えられるため、減額した部分にかかる保険料積立金は返戻金として戻ってくる。
 保険料積立金の取崩し分と返戻金との差額は、雑損失として計上する。ここで気になるのが、保険料積立金の取崩し額はいくらにすればベストかという点だ。基本的には「保険料積立金×減額部分保険金額÷減額前保険金額」で計算する。 たとえば、社長を被保険者、死亡保険金・満期保険金の受取人を会社とする養老保険で、保険金4千万円を3千万円に減額するケースでは、減額時の保険積立金を1千万円、減額にともなう返戻金を200万円とした場合、取崩し額は250万円(1千万円×1千万円÷4千万円)となる。
 したがって、このケースで保険金減額にともなう処理は、保険積立金250万円を取り崩すと同時に、減額による返戻金200万円との差額50万円を雑損失として計上する。

税理士法人早川・平会計