<タックスニュース>

来年度改正 タックス・ヘイブンが焦点に

 年末に向けた2010年度税制改正の作業では、タックス・ヘイブン(租税回避地)税制が焦点に浮上している。タックス・ヘイブンとは、海外からの投資や企業進出を呼び込むために、法人税などの税率をゼロや低水準に抑えている政策を実施している国のことで、カリブ海のケイマン諸島やマレーシア、フィリピン、欧州の小国リヒテンシュタインなどが該当する。
 日本やアメリカなどからみれば、国内企業がタックス・ヘイブンへ企業立地してしまうと、本来本国に入るべき税収が外部に流出する事態になる。日本では租税特別措置法で法人税率が25%以下の国をタックス・ヘイブンに指定。国内の法人税率との差分を課税してきた。
 しかし、国際的な法人税の引下げ競争のなかで、中国(法人税率25%)やオランダ(同25・5%)などの税率がタックス・ヘイブン税制に抵触する水準まで下がったため、産業界が同税制の見直しを求めている。ただ、金融危機による税収の落ち込みで、これまで寛容だったアメリカを含め、世界的に脱税イメージが強いタックス・ヘイブンへの課税強化を求める声が高まっており、すんなり実現するかは不透明な要素も多い。

<タックスワンポイント>

野球観戦中ボール直撃 損害賠償金は損金扱い

 プロ野球の試合を観戦中、ファウルボールが当たり、目に障害を負ったとして、宮城県に住む47歳の税理士がプロ野球球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」を提訴した。その内容は、観客を守るネットなどの安全装置を設置することを怠った、というものだ。
 日本野球機構は「試合観戦契約約款」において、「ホームランボール、ファウルボール、(中略)に起因する損害について、主催者は責任は負わないものとする」とし、「主催者が負担する損害賠償の範囲は治療費等の直接損害に限定され、逸失利益その他の間接損害及び特別損害は含まれないものとする」と規定している。今回の件で球団側は治療費を支払っているが、税理士が求める逸失利益に関しては、球団側は「支払う必要なし」と全面的に争う構えだ。
 企業が裁判で訴えられ損害賠償が発生した場合、その損害賠償で支払ったお金については、通常、雑損失などとして損金扱いとする。損金には弁護士への報酬なども含まれる。損害賠償金は資産の譲渡の対価ではないので、消費税は非課税だ。ただし、弁護士へ対する支払いは税理士へ支払うものと同様、源泉徴収しておく必要がある。

税理士法人早川・平会計