Vol.0029号
<タックスニュース>
「繰越控除」子会社まで拡大??法人税改正の目玉に
財務省は、2010年度税制改正の柱のひとつに、法人税の連結納税制度を見直す方針を固め、準備に入った。課税年度の黒字を過去に発生した欠損金で相殺して課税対象利益額を圧縮する繰越控除制度を、これまでの親会社だけから子会社にも拡大する。
連結納税制度は、企業グループをひとつの企業と見なして法人税を課税する制度。事業部門を別会社化した場合でも納税額は変わらないため、企業の合併・分割などで経済効率性を高める動きを税制面から支える仕組みとして、2002年度から導入された。
繰越控除制度は最長7年間の欠損金を当年度の黒字と相殺できる。子会社分の欠損金も相殺対象に加えれば、企業にとって納税額を圧縮できる割合が拡大し、連結納税の導入が進むと考えられる。ほかにも連結納税制度の使い勝手を改善するため、現状で100%子会社しか連結納税の対象として認めていない点を改め、過半数出資の子会社などへの対象拡大や、企業が任意に連結納税の対象にする子会社を選べる仕組みの導入も検討する。
また現在は、連結納税制度の導入時に子会社の資産を簿価評価から時価評価に改めなければならず、発生した評価差益に法人税がかかる点を改め、簿価評価を認める方向でも検討する。
<タックスワンポイント>
ダイレクト納付の受付スタート!
今年9月に誕生する国税の新しい納付手段「ダイレクト納付」の利用届出書受付が始まった。ダイレクト納付とは、e-Tax(国税の電子申告・納税)で申告などの送信をした後、預貯金口座からワンクリックで即時に(期日指定も可)税の納付ができるというもの。従来の電子納税とは違い、インターネットバンキングの契約が不要で、すでにある金融機関の口座が利用可能だ。
対象は法人税や源泉所得税など電子申告が可能な税目だが、e-Taxに納付情報を登録すれば全税目でダイレクト納付が使える。税理士がe-Taxで申告しているなら、納付まで一括して税理士に依頼することもできるようになる。
利用開始時期に差があるが、全国52の銀行・信用組合で利用可能となる予定。すべての金融機関でないのが残念だが、ただ、気を付けたいのが利用時間。金融機関によりサービス提供時間が異なり、さらに同じ金融機関でも口座のタイプ(普通・当座・納税準備)によって時間が異なることもある。詳細は国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/)に掲載されている。利用届出書は、金融機関届出印押捺のうえ、所轄税務署へ書面で提出。利用可能となるまで一カ月必要だ。