Vol.0030号
<タックスニュース>
新主税局長に古谷氏 消費増税へ向けた布陣再び??
2009年夏の財務省定例人事で、加藤治彦・主税局長が勇退し、古谷一之・主税局審議官が後任の主税局長に昇格する見通しとなった。加藤氏は主税畑を長年務める一方、主計官や官房の政策立案を担う総合政策課長も務め、自民党の国会議員にも顔が広い。2007年7月に主税局長に就任した際は、安倍内閣による消費増税を見据えた本格布陣とうわさされた。
しかし、その後の安倍内閣の退陣や、サブプライムローン問題を発端にした金融危機ぼっ発で消費増税は棚上げに。2011年度までに消費増税を含む税制抜本改正に着手することを定めた中期プログラムの策定と改正所得税法の附則による立法化を置き土産に、国税庁長官に就任予定。
一方、後任の古谷氏も加藤氏に劣らぬ税のエキスパート。主計局の主査や故・宮沢喜一蔵相の秘書官も務めた。柳沢伯夫・元自民党税調会長の信頼も厚い。
ところで、つい1カ月前まで今夏の主税局人事は加藤局長の留任説がもっぱらだった。それが急きょ1年前倒しの交代となったのは、2009、2010年度が税制抜本改正の制度設計の山場に当たることを重視したため。古谷局長が今後2年間の改正作業を総覧する布陣だ。
<タックスワンポイント>
セーフティ共済で倒産防げ! 最大24カ月分の掛金を損金
中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)への加入企業が増えている。昨年来の景気悪化の煽りを受けて、企業倒産が相次ぐためで、平成20年度は同19年度より約1万件増加した。月々の掛金は、全額を損金に算入できるとあって、リスクヘッジに加え節税もできるという点も加入に拍車をかけているようだ。
同共済は、取引先が倒産し売掛金などが回収できない場合、掛金総額(上限320万円)の10倍相当額または回収が困難となった売掛金などの金額(上限3200万円)のいずれか少ない金額を、無担保、無保証人、無利子で借入れできるという制度。連鎖倒産の防止が目的とあって、融資実行のスピードは非常に速く、昨年度の融資実行までの平均日数は10日だ。
同共済の月々の掛金は、5千円から8万円の範囲内で設定でき、この掛金は全額を税法上損金算入できる。また、積み立てた掛金は解約時に、加入期間に応じて設定されている割合で返金(40カ月加入で全額返金)されるため、会社の業績が好調なときに掛金を積み立てておき、業績が悪化したときに解約することで、リスクヘッジに加えて節税、貯蓄を効率良く行うことができる。また、掛金の前払いも可能なため、決算期末に1年分前払いすることで、初年度には最大で24カ月分の掛金を損金算入できる。