<タックスニュース>

新政府税調ネットで公開  ”丸みえ”会議どう影響

 民主党政権が「税制改正の大改革」と位置付ける政府税調の初会合が10月8日、首相官邸で開かれた。「税制改正の透明化」の公約通り、当日の様子はインターネットで公開。藤井裕久財務相が当初、「すべての公開までは勘弁してほしい」としていたが、急きょ公開する方針に切り替えた。自民党税調時代は非公表だっただけに、公開化が税制改正の議論にどう影響するかも注目だ。
 一方、税制改正要望を従来の自民党税調のように引き受けてくれるのか、日本経団連など各業界団体の間には戸惑いも広がる。日本経団連は同月2日、恒例の税制改正要望を発表。例年は9月半ばに実施しているが、政権交代で今年は3週間ほど遅れた。例年は自民党税調に出していた要望書を政府税調に出すかは検討中という。
 内容は、環境税や租税特別措置の見直しには慎重姿勢を掲げ、民主党との対立点も少なくない。
 これまでは自民党税調のインナー(幹部会)に働きかけ、要望を通してきたが、今年は新政府税調に税制改正作業が一本化されたため、「新税調の幹部への面会予定は未定で当面は様子見」と、経団連幹部も戸惑いを隠せない。
 また、各省が例年8月末に予算要望と合わせて提出している税制改正要望も、政権交代で10月末に出し直しとなっている。

<タックスワンポイント>

事業承継税制「要件厳しい」??全法連アンケート

 全国法人会総連合(会長=大橋光夫氏)は先ごろ、「平成22年度税制改正に関するアンケート」の結果を発表した。アンケートには全国5108人の経営者が回答している。
 それによると、平成21年度税制改正で創設された「取引相場のない株式等にかかる相続税の納税猶予制度」(事業承継税制)については、「評価するが、要件等が厳しいので緩和すべき」と答えた経営者は3136人、全体の60・5%に上った。「大いに評価する」は972人(18・7%)、「評価できない」は265人(5・1%)、「よくわからない」が771人(14・9%)だった。
 同制度は、中小企業で一定要件を満たす事業承継が行われた場合、相続した株式の80%(発行済み株式総数の3分の2まで)に対応する相続税の納税が猶予されるもの。会計人のあいだでも「とにかく要件が厳しい」という指摘もあるが、そうした評価を裏付けるような結果となった。
 「見直すべき要件はなにか」の質問では、「雇用の8割以上を5年間維持」が2154人(19・3%)でトップだった。次いで「死亡時まで株式を保有しないと猶予税額が免除されないこと」が2149人(同率)、「後継者は同族関係者と合わせて発行済株式の過半数を保有し、かつ同族内で筆頭株主であること」が1872人(16・8%)で続いた。

税理士法人早川・平会計