<タックスニュース>

サヨナラ自販機節税??税調が対処策を内定

 賃貸住宅のオーナーの間で有力な節税策として広まっていた「自販機節税法」が、禁止される見通しとなった。消費税は最終消費者が支払うのが原則。業者が仕入れなどの中間段階で支払った消費税額は後日還付される。消費税法30条では、売上げの95%以上が課税対象なら仕入れにかかった税を戻す、と規定しており、俗に「95%ルール」と呼ばれる。ただ1991年の法改正で家賃には消費税がかからないことになったため、賃貸住宅の売上げに当たる家賃収入は課税対象外の売上げとなり、その仕入れに当たるアパート建設費に支払った消費税は還付を受けられないはずだった。
 ところが自販機をアパート開業前に設置し、自販機売上げのみの段階で税務署に申請すれば、95%ルールをクリアし、アパート建設費まで仕入額としての還付対象にできる。建設費2億円のアパートなら1千万円が戻ってくる計算だ。
 しかし会計検査院は10月、全国で自販機節税による税収減が年間90億円に達するとして、財務省に見直しを求めた。これを受けて政府税制調査会も11月16日、ひそかに決めた今年度の検討課題のひとつとして、自販機節税への対処策の取り決めを内定した。財務省幹部は「限りなく脱税に近い節税措置だ」と憤り、法改正も辞さない構えだ。

<タックスワンポイント>

悪質な「セクハラ」  損害賠償を支払ったら?

 毎年11月は、労働基準監督署の「調査強化月間」。会社の就業規則や賃金、サービス残業などに厳しい目が向けられる。労働現場のトラブルとして最近目立つものにセクハラがある。平成20年度の労働局の是正指導は9238件に上った。
 セクハラは、体に触るなどの直接的なもののほか、卑わいな冗談、お酌の強要、職場にヌードポスターを貼るなど、「労働者の就業環境が害される」(男女雇用機会均等法11条)行為が該当する。セクハラは強制わいせつや名誉棄損など刑法上の犯罪に当たらなくても、民法上の不法行為として損害賠償責任を問われる。また、業務遂行上の行為である場合、使用者責任や、職場環境整備義務の債務不履行責任を会社が負うこともある。
 社員や役員の行為による損害賠償金を会社が支払った場合、税務では、法基通9-7-16で、対象行為が「法人の業務の遂行に関連するもの」で、かつ「故意又は重過失に基づかないもの」であれば損金になるとされる。行為者に故意・重過失がないケースは、交通事故をイメージすると分かりやすい。セクハラについてその証明をするのは、いかにも難しそうだ。
 行為者に故意や重過失がある、あるいは業務遂行上の行為ではない損害賠償金を会社が肩代わりした場合は、会社が行為者に対する求償権を得たものとされる。経理は債権と支払いの両建てになり、この金額について行為者の支払いが不能となったときに、貸倒れとして損金算入できる。

税理士法人早川・平会計