Vol.0052号
<タックスニュース>
経営改善計画「1年待ちます」 返済猶予申込みに配慮
中小企業向け融資や住宅ローンの返済猶予制度を盛り込んだ中小企業等金融円滑化法案に関連し、金融庁が改定を進めている金融検査マニュアルなどの概要が明らかになった。中小企業などが返済猶予を申し出てから最長1年の間に経営改善計画を作成できれば、不良債権に分類されないようにする。また、金融機関で返済猶予などに応じた職員について、人事面で評価しているかどうかも盛り込む。
新しいマニュアルでは、中小企業では経営改善計画の策定に時間がかかることを考慮。返済猶予などを受ける際に必要な経営改善計画の作成を最長1年間猶予する。金融庁は昨年11月、リーマン・ショックによる急激な景気悪化を受け、不良債権に区分されない条件について、経営改善する期間を3年間から最長10年間に緩和している。計画自体の策定も猶予することで、金融機関が返済猶予などに応じやすくする。
さらに、過去に返済猶予などを受けたことを理由に新規融資を断っていないか、返済猶予などに応じた職員が適切に評価される人事体系が整備されているかなども検査する。また、金融機関に対し、返済猶予などの申込み、実行、断った件数・金額のほか、ほかの金融機関が返済猶予などに応じたにもかかわらず断った件数などの報告も求める方針で、かなり踏み込んだ内容となっている。
しかし、返済猶予を受けた中小企業が猶予期間終了時、経営が改善していないと金融機関の不良債権が増える可能性がある。そのため、小手先の対応策ではなく本格的な景気対策が必要とされている。
<タックスワンポイント>
租特に聖域なきメス 適用期限はまだ先なのに・・・
省庁の税制改正要望が出揃い、今後本格的な議論が行われることになるが、それとは別に、「要望にない項目等」という資料が政府税制調査会(会長=藤井裕久財務大臣)でこのほど、配布された。この資料には、来年度以降も適用期限の残る租税特別措置(租特)も含まれており、「あの租特は来年も当然使えるだろう」と思い込みは、痛い目をみる可能性も出てきている。
今回の資料に盛り込まれた租特は、?譲渡益課税の対象となる公社債の範囲の拡充?小規模宅地等の課税の特例?農業経営基盤強化準備金制度?特定目的会社に係る課税の特例?石油化学製品製造用揮発油(ナフサ)に対する免税措置。
たとえば、?小規模宅地等の課税の特例については、「現行では相続後に事業等を継続しない場合など、制度趣旨に照らして必ずしも的確とはいえない場合でも一定の減額を受けることが可能」と問題視された。
租特の検討は、無駄を洗い出すプロジェクトチーム(PT)が選定基準を設けて、優先度や緊要性の高いものか、政策目標がすでに達成されていないか、適用数が特定の者に偏っていないか??などによって判断することを決めていた。これまでは、期限が到来する措置のみが検討の対象となるとみられていたが、今回の資料が示すように、期限とは無関係に存廃が議論されることが明らかとなった。峰崎直樹財務副大臣も租特の見直しについて、「毎年行うべきもの。これで終わりではない」と意気込む。