<タックスニュース>

「欠損金の繰り越し」に上限  ??管財務相が増税案

 菅直人財務相は5月11日の会見で、法人税の「欠損金の繰り越し」について、「単年度内に一定を超えれば払っていただき、7年の期間を延ばすやり方もある」と述べた。欠損金を翌年度以降に繰り越して利益金から控除して、利益金が残れば法人税を支払っている現行制度を変え、利益金への損金算入に上限を設けて、法人税収の急激な落ち込みを避ける意向とみられる。
 財務省内では「2011年度の予算編成は、このままでは歳入不足でできない」(幹部)との認識が定着しており、菅財務相も危機感を持っている。まずは国債発行額を抑える必要があり、菅財務相は同年度の新規国債発行額を2010年度の33兆4千億円以下に抑える方針を表明した。
 財務省は2011年度には、黒字になった企業でも、欠損金の繰り越しで法人税の支払いが免除されるケースが多いと予想している。菅財務相のアイデアはこうした企業から2011年度に税収を確保する狙いがあるとみられるが、将来の税収の先食いにすぎない。算入期間の延長がなかった場合、事実上の増税になり、「V字回復を果たそうとしている大企業が黙っていない」(財務省幹部)と企業側の反発が予想される。

<タックスワンポイント>

住宅資金の贈与税特例  見逃せない!非課税枠アップ

 平成22年度税制改正で拡充した「住宅取得資金の贈与税の非課税制度」。国税庁がこのほど、同制度活用にあたっての取り扱いを明らかにした。今回の改正では非課税枠が拡大され、住宅取得資金をもらう予定のある納税者にとってうれしいわけだが、制度自体より複雑になっている。
 中でも、?同21年中に住宅取得資金の贈与を受けて旧制度を適用し、同22年にも資金贈与を受けた場合の非課税枠は?同22年中に住宅取得資金の贈与を受けた人が、同23年中に追加の資金贈与を受けた場合の非課税枠は??といった疑問の声は多い。
 これについて同庁は、?は同22年の非課税枠を「1500万円-同21年中に贈与を受けた住宅取得資金の額」とすることも可能としている。?は同22年中の贈与については1500万円、同23年の贈与については「1500万円-同22年中に贈与を受けた住宅取得資金の額」としている。つまり、いずれの場合も非課税枠は2年間で1500万円となるわけだ。
 また、非課税枠拡大の一方で同制度の適用に「所得制限」が設けられた。これにより、贈与を受けた年の総所得金額が2千万円を超えている場合は非課税制度を適用できなくなっている。ただし、これはあくまで新制度の適用について付された要件であって、非課税枠500万円の旧制度については合計所得が2千万円を超えていても適用可能となっている。

税理士法人早川・平会計