<タックスニュース>

意外に不人気!?「環境自動車税」  総務省研究会の成果空しく…

 総務省の「自動車関係税制に関する研究会」が創設を提案した「環境自動車税」の評判がすこぶる悪い。自動車の保有段階に課税している現行の自動車税・軽自動車税(地方税)と自動車重量税(国税)を一本化し、地方税とするもので、民主党幹部からは「筋が悪い」と早速駄目出しされている。
 日本自動車工業会は、本来廃止されるべき自動車重量税を暫定税率も含めて存続させるものとして、「制度論以前の問題として到底認められるものではない」と断固反対。民主党の経産産業部門会議も「地方公共団体が行う自動車固有の温暖化対策の内容が不明で課税根拠が明らかでない」と同じく反対の姿勢だ。
 軽自動車業界も反発する。現在は小型自動車に比べて税負担水準が大幅に低い軽自動車の負担水準を引き上げようとしており、「規制によって守られている」(業界首脳)軽自動車の存在そのものが吹き飛びかねないからだ。
 財務省も面白くない。自動車重量税は、約40%を地方に譲与しているが、国にとっては貴重な財源。ただ、財務省の批判が目立たないのは、研究会の座長を、政府税調専門家委員会の神野直彦委員長が務めているという背景がある。総務省の地方財政審議会の会長で、同省内にオフィスを持つ神野氏を招いたことが裏目に出た。

<タックスワンポイント>

黒字企業 過去最低の25%  法人所得は前年比4兆円減

 国税庁発表の平成21事務年度(平成21年7月~同22年6月)法人税の申告・課税事績で、黒字企業割合が過去最低になっていることが分かった。申告所得金額・申告税額も3年連続で減少。経済状況の悪化が、企業経営に直撃した格好となっている。源泉所得税額も3年連続の減少し、マイナスづくしだ。
 法人税申告件数は278万6千件。前年に比べ1万9千件(0・7ポイント)の減少だ。その申告所得金額は総額33兆8310億円、申告税額総額は8兆7296億円だった。同庁は「昨今の経済情勢などによるもの」とみている。
 黒字申告割合は25・5%で、前年より3・6ポイント下落、過去最低を記録した。これは、繰越欠損金控除後の所得金額からの数値で、繰越欠損金控除前をベースにすると、黒字申告割合は46・3%となるが、これも同21年度の46・3%は、前年より3・7ポイントダウン。
 赤字申告1件当たりの欠損金額は1318万6千円。これは前年に比べ237万円の減少となった。「赤字法人が増えたことで1件当たりの欠損金額も下がった」(同庁)と、母数が増加し、赤字が”薄く広く”になってしまったというなんとも苦しい状況だ。
 源泉所得税額は12兆973億円で、前年比12・7ポイント減、1兆7838億円の減少。課税状況から見ると、給与所得からの税額は8兆5702億円で、前年から9081億円ものマイナスだ。「景気低迷で支払い総額が全体的に減っている」(同)。

税理士法人早川・平会計