<タックスニュース>

地方に吹く”減税”旋風  消費税改革を妨げる!?

 住民税の減税を主張する地方政党の台頭に、財務省が神経を尖らせている。住民税を減税する一方で、国からの地方交付税を受け取るのでは、制度の根幹が揺るぎかねないだけではなく、減税が前面に出ることで、政府・与党が進める消費税増税を前提とした「社会保障と税の一体改革」への世論形成を妨げるのではないか、という懸念があるからだ。
 台風の眼となっているのは、平成21年の市長選で「10%の恒久減税」を公約にして当選した名古屋市の河村たかし市長だ。議会の反対で減税は当初22年度の1年限りとなったため、河村市長は自らが代表を務める地域政党「減税日本」を立ち上げ、市議会の解散の是非を問う住民投票を仕掛けて、リコールを成立させた。
 出直し市議選では、「減税日本」が第一勢力に躍進する勢いで、過半数を獲得できれば、恒久減税の実現も視野に入ってくる。しかし、単年度の減税でも、減収は約160億円にも上る。人件費削減などの行財政改革で捻出しようとしたが、一度しか使えない「埋蔵金」も多く、恒久財源とはとても言いがたい。
 名古屋市は22年度には5年ぶりに地方交付税の交付団体に転落しており、霞が関では「国が徴収した税金を地方交付税として受け取っておいて、自分たちは減税では都合が良すぎる」といった批判がある。ただ、国政レベルで民主党、自民党などの既存政党に失望感が広がる中、地方で第三極への支持が拡大しているのも事実だ。ある財務省政務三役は「減税日本のような地域政党が国政に出てくれば、一体改革の争点は完全にぼけてくる。一体改革どころではない」と危機感をあらわにしている。

<タックスワンポイント>

日本人の8割「目的なく貯金」――日米中・貯蓄に対する意識調査

 東京スター銀行は、日本・中国・米国在住の20~40歳代のビジネスパーソン900人を対象とした「貯蓄に対する意識調査」を実施した。調査によると、日本人の約8割が目的なく貯蓄をしており、約4割が具体的な将来の人生設計を持っていないと回答したという。一方、中国人の約半数、米国人では7割以上が「明確な目的を持って貯蓄をしている」と答えていることから、日本人の貯蓄に対する意識の低さが明らかになった。
 貯蓄する理由として、日本人は「仕事がなくなったり、収入が減少したりした時に備えるため」「万が一のため」「老後の生活費を備えるため」などを上位にあげた。経済成長が著しい中国では「万が一のため」に次いで「子どもの教育費のため」「旅行や趣味などの娯楽費用のため」「車や家電の購入など耐久財の購入のため」などが上位を占め、積極的な消費行動がうかがわれた。
 貯蓄や投資の実態を集計すると、「定期的に貯蓄している」と答えた割合は日本人が最も低く4割程度。米国では7割近くに達しており、「貯蓄好きの日本人、消費好き米国人」というイメージを覆す結果となっている。
 また定期的に貯蓄をしている中国人の半数以上が、月収の2割以上の額を貯蓄。さらに全体の8割以上が投資を行っており、貯蓄や投資に高い意識をもって励んでいる姿が浮き彫りになった。米国人も2人に1人が投資を行っており、日本人と比べると依然として投資意欲が旺盛なようだ。

税理士法人早川・平会計