<タックスニュース>

「復興費用」財源に課題  国債には頼れない懐事情

 東日本を襲った大震災。被害の全貌はまだ不明だが、政府は「阪神大震災をはるかに上回るのは十分想定できる」(与謝野馨経済財政担当相)と過去最悪の被害を見込んでいる。生存者救出や原発事故への対処など喫緊の課題が優先される一方で、震災地域の復興や被災者の生活を再建していくための財政的な手だても早急に求められている。
 95年の阪神大震災では、家屋やインフラなどの被害規模は10兆円に達したとされる。政府は復興のため94、95年度に3度にわたって補正予算を組み、約9兆円を震災復興対策に充てた。今回の東日本大震災はそれを大きく上回るのは確実な情勢で、政府・与党内には早くも10兆円規模の対策が必要」(与党政調関係者)との声が上がっている。
 問題は、その財源だ。阪神大震災の際は大半を国債で調達し、法人税を一時的に引き上げた。だが、95年度末の国の公債残高は225兆円と現在のほぼ3分の1程度で、財政余力が全く違った。政府は昨年6月に決定した財政運営戦略で、20年度までに基礎的財政収支を黒字化することや、11年度から3年間の新規国債発行額を44兆円以下に抑える目標を掲げている。10兆円規模の震災復興対策を国債発行で賄えば、財政健全化計画の全面的見直しを迫られるのは必至だ。
 このため、与党内には子ども手当の11年度上積み分や高速道路無料化実験の予算を削減し、震災対策に充てる案も出ている。だが、それで確保できる額は数千億円規模にすぎず焼け石に水。自民党は「子ども手当や高校無償化などマニフェスト政策を全廃し5兆円を捻出すべき」と主張し、与野党協議は難航している状況だ。

<タックスワンポイント>

商売上の”お付き合い”費用  「利益供与」は交際費扱いも

 地元、地域社会での余計な摩擦やいざこざは、できる限り避けながら仕事に専念したいところ。そのため、近隣の関係者との”お付き合い”費は、現実の経済活動の中で自然に発生している面も多々ある。
 しかしながら、やっかいなことに税務上の取り扱いとなると、これが商売上必要な支出であるにもかかわらず、必ずしも損金性を認められないこともある。
国税庁の租税特別措置法関係通達では、「交際費等に含まれる費用の例示」として具体的な支出を列挙しているが、その中で総会屋への利益供与については次のように定めている。「いわゆる総会対策等のために支出する費用で総会屋等に対して会費、賛助金、寄附金、広告料、購読料等の名目で支出する金品に係るもの」(同68の66(1)-18)また時には、支出先、使い道を明らかにしたくない支出もあるだろう。例えば、会社が不祥事をもみ消すために支出したような場合だ。こうした支出は帳簿にも内容は明らかにしたくないわけで、申告上は使途を明らかにしない「使途秘匿金」として処理しなければならない。
 現実のビジネスを進めていく上で、経営者にとって必要な支出であっても、税法ではそんな事情は考慮してくれないケースもある。しかしながら、商売で肝要なのは”お付き合い”だ。それは相手が税務署でも変わらない。そのためには税法に沿った適正な処理は欠かせない。

税理士法人早川・平会計