<タックスニュース>

被災地は「自動車」必須  取得税、重量税など減免

 東日本大震災の被災者を支援するために政府・民主党がまとめた税制特例措置の第一弾には、津波で使用できなくなった自動車の買い替え促進策が目立つ。阪神大震災後の税制特例措置にはなく、阪神地域に比べて相対的に公共交通機関が乏しく、移動手段を自家用車に頼ることが多い今回の被災地の現状をくみ取ったものだ。
 津波で海水に浸かった車両は、塩分が車内に張りめぐらされた電気配線の腐食を促進させるため、再び走るように修理することは、かなり難しいのが実態だという。そこで今回の税制特例措置では、自動車を廃車にする段階と、新しく購入する各段階で税負担を軽減する方向だ。
 まずは、通常は自動車リサイクル法に基づいて解体された場合に限って、自動車重量税の残存期間に相当する分を還付する制度を、震災の影響で利用できなくなった自動車にも適用する方針。使えなくなった車両に代わる自動車を購入する場合には、自動車取得税を今後3年間にわたって減免する措置を盛り込む。
 さらに法改正ではないが、4月1日が賦課期日の自動車税について、震災で使えなくなった自動車に対しては、廃車の手続きを済ませてなくても課税対象にしないように、総務省が関係する県に念押ししている。東日本大震災の被災地では自動車は生活の足であり、被災者が復旧・復興に取り組むにも移動手段として欠かせないのも現実だ。
 ただ、民主党には自動車メーカー出身の議員や、自動車関係労組から支援を受けた議員が多く、「あまりに自動車の買い替えを優遇し過ぎているのではないか」と、今回の税制特例措置をいぶかしがる声も一部から聞こえてくる

<タックスワンポイント>

平成23年地価公示  国交省「震災の前後で価格が変化」

 国土交通省が3月に発表した「平成23年地価公示」を見ると、平成20年秋のリーマンショック以降、下落を続けてきた地価に持ち直しの兆しがあることが分かる。特に大都市圏では住宅需要の回復、企業の収益状況の良化などが手伝って、住宅地・商業地共に地価の下落幅が大きく改善した。しかし、3月11日の東日本大震災を受けて、「公示地価がまったく参考にならなくなった」との声が高まっており、国交省では対策を迫られている。
 平成23年の公示地価によると、3大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)の住宅地の地価変動率はマイナス1・8%で、下落幅が前年に比べ2・7ポイント改善。中でも名古屋市は地価の上昇率が高かった。平成23年中に全線開業が予定されている地下鉄・桜通線による影響が加味されての地価上昇と考えられる。
 だが、東日本大震災以後、物的被害を受けた地域に限らず、震災の影響により日本全国で地価が下落していることも十分に想定されるため、今回の公示地価は安定性を欠いた状態にある。そこで国交省は、「公示地価を利用する際には、震災の前後で価格が変化していることに留意してほしい」とアナウンスしている。また国交省では、公示地価に代わる何らかの指標を提示することについても検討しているという。

税理士法人早川・平会計