Vol.0123号
<タックスニュース>
岡山 税務署員が不正還付 よりによってe-Taxを悪用!
広島国税局は4月27日、岡山県内の税務署に勤務する署員(24)がe-Taxを悪用して所得税の確定申告で還付金を不正受給していたことを明らかにした。e-Taxは税務署を訪れなくとも自宅やオフィスから申告できることが最大の魅力だが、税務署で職員と体面しながら行う手続きとは異なるだけに、電子申告に特有の運用上の弱点を、脆くもさらけ出すことになってしまった。
当局の発表によると、署員は平成19年~21年分の所得税の確定申告で、上場株式に係る源泉徴収税額や生命保険料、寄附金を架空計上する手口で、約5万2千円を不正に受給した。
e-Taxでは19年分以後、所得税の確定申告書の提出については医療費の領収書や給与所得の源泉徴収票、控除証明書といった一定の添付書類の、税務署への提出・提示を省略することができるようになっている。入力フォームに源泉税額や支出額を入力して送信するだけでよい。
これはe-Taxの普及のために、利用者の利便性向上を図ることを目的に行われているわけだが、同時に申告納税制度本来の趣旨を踏まえた、いわば〝納税者のモラル〟を前提とした特別の措置だ。それがよりによって、こうしたe-Taxならではの取り扱いを熟知している税務署員が悪用するとは、なんとも皮肉な事件といえる。利便性を追求するe-Taxの限界をさらけ出すと共に、運用上の在り方を問う結果となった。
署員は、「株取引で370万円の損失があり、穴埋めしたかった」と話しているという。同国税局は停職6カ月の懲戒処分とし、署員は同日付で辞職している。
<タックスワンポイント>
復興名目に消費税増税案 与党は難色、野党はイケイケ!?
政府・与党は、本格的な復興対策を盛り込んだ第2次補正予算案の編成に向けた作業に着手した。
10兆円を超えるとされる巨額の財源確保策をめぐっては、将来の増税を担保に一時的に国債で賄う案が有力だが、増税への反発は根強く、調整は難航が予想される。
政府・与党が検討しているのは、返済のための増税を法律で明記した「復興再生債」を発行する方式。政府内では、現在策定中の社会保障改革の財源とセットで消費税率を12年度から引き上げ、当初3年間は復興財源のために充てるという案も浮上している。
だが、増税に反発は強い。復興の青写真を描く復興構想会議では、4月14日の第1回会合で五百旗頭真議長が「震災復興税」を提唱したのに対し、政府・与党から「負担の話は政府・国会内で議論すべき」(岡田克也民主党幹事長)との反発が噴出。その後、財源論は凍結されている。
4月27日には、民主党税制改正プロジェクトチームの小沢鋭仁座長が野田佳彦財務相に「消費税などの話が出て、党内から懸念の声が上がっている」と慎重な論議を要請。政府・与党ともに増税論議は封印された状態だ。
一方、自民、公明の両野党は増税に一定の理解を示すものの、自民は子ども手当などの撤回が前提という立場。みんなの党は特別会計の「埋蔵金」を財源に掲げている。