<タックスニュース>

平成23年度税制改正  「つなぎ」延長で持ち越し

 平成23年度税制改正法案成立の見通しが立たない。政府・与党は、東日本大震災の復興財源に充てることを視野に、同法案に盛り込まれた法人税減税の見送りなどを検討しているが、復興に向けた23年度第2次補正予算案の提出は8月以降にずれ込む見通し。23年度第1次補正予算成立後、特例公債法案すら与野党協議が進まない中で、「つなぎ法案だけ延長し、そのまま22年度税制改正になだれ込むのでは」(関係者)との見方も出ている。
 税制改正法案は、3月末で減免措置の期限が切れる税に限って3カ月延長する「つなぎ法案」が成立。期限を迎える6月末に向けた議論の再開が注目されていた。法人税5%引き下げが大きな焦点だったが、震災で、日本経団連の米倉弘昌会長が「個人的にはやめていただいて結構」と発言するなど、経済界も見送りを容認。財務省幹部も「今の法案を通した上で、法人税を凍結すれば、1兆円以上の財源になる」と強調し、法人税減税を本則で残したうえで、付則で凍結をうたう「暫定税率」方式の検討も始まった。
 しかし、2次補正編成は早々に先送りが決定。与党内では、野党の要求を受け、復旧・復興に向けた1兆円超規模の「1・5次」補正予算案を今国会に提出する案も浮上したが、野党を特例公債法案賛成に引き込むため、赤字国債を充てることを想定しており、本格的な復興財源案の議論にはほど遠い。

<タックスワンポイント>

公益法人の収益除外規定  障害者割合は事業ごとに判定

 公益法人が障害者を雇用して事業を行った場合、その事業が税法上の収益事業に該当するかどうか。その判定基準となる「従業員に占める障害者の割合」について名古屋国税局は5月、個別の事業ごとに判定すべきであることを示した。
 法人税法では、その収益事業に関わる従業員の半分以上が障害者で、その事業が障害者の雇用を目的としているなど「障害者の生活保護」のために行われている場合に限り、例外的に収益事業から除外される(法人税法施行例第5条第2項)。
 しかしこれまで、1つの公益法人が複数の医療保険業を行っているような場合に、従業員に占める割合を「医療保険業」といった業種単位で判定するのか、「個別の業種ごと」に判定するのかといった明確な指針は存在していなかった。
 業種単位で判定する理由として同国税局は、「公益性、特に社会福祉に貢献している事業に法人税を課すことは適当ではない」という制度の趣旨を挙げている。例えば、2つの事業(同業種)を行う公益法人において、一方の事業では障害者の割合が50%以上だが、もう一方の事業では障害者を雇用しておらず、事業規模は後者の方が大きいケース。この場合、仮に業種単位で割合を判定すると、従業員の半数が障害者であるという極めて公益的な事業までもが収益事業として法人税の課税対象になり、制度の趣旨に反することになる。

税理士法人早川・平会計