<タックスニュース>

民主党代表戦「ポスト菅」は誰?  焦点は”復興増税”の是非

 「ポスト菅」を狙う民主党の有力議員から、震災財源確保を目的とした増税の動きをけん制する発言が相次いでいる。
 「3年間は徹底的なデフレ脱却期間とし、経済が循環しはじめたときに増税議論をすべきだ」
 党代表選出馬を明言している馬淵澄夫前国土交通相は今月2日の講演で、景気対策の足かせとなる増税は当面、封印すべきだとの考えを表明した。同じく代表戦出馬を狙う小沢鋭仁元環境相も復興増税に反対しており、増税議論の中心となる党税制改正プロジェクトチームの座長を辞任する意向を周囲に伝えている。
 政府が7月末決定した復興基本方針では、今後10年間の復旧・復興事業費を約23兆円と見積もり、このうち約19兆円を当初5年に集中投入すると明記。必要な費用は基幹税などの増税で捻出(ねんしゅつ)するとした。馬淵、小沢両氏がこれに真っ向から対立する主張を繰り返す背景には、党内最大勢力で、増税反対の立場をとる小沢一郎元代表のグループの支持を取り付けたい狙いがあるとみられる。
 代表戦をめぐっては、復興基本方針取りまとめの中心となった野田佳彦財務相が「ポスト菅」の最有力候補とされている。財政規律を重視する野田氏は増税の必要性を強く訴えていることから、他の候補は「増税反対」の立場をとることで、野田氏との違いをアピールするしかない事情もある。
 「増税の是非が代表選の最大の争点になる」(民主党幹部)のは間違いないが、震災発生で国の財政悪化が一段と進む中、財源の裏付けのない歳出削減を無制限に続けられないのも事実。政府内では「誰が首相になっても負担増の議論からは逃げられない。目の前の代表選だけをにらんだポジショントークは、いずれ自分の首を絞めることになる」(中央省庁幹部)との冷ややかな声も出ている。

<タックスワンポイント>

国税庁が文書回答  B型肝炎訴訟の和解金は「非課税」

 B型肝炎訴訟については現在全国の10地裁で係属中だが、札幌地裁で示された所見に基づき6月28日、国と全国の原告団との間で損害賠償責任にかかる基本合意書が締結された。これを受けて厚生労働省は国税庁に対し、合意書に基づき支給される和解金に係る所得税の課税関係について文書による照会を行った。
 照会では、「和解金は、基本合意書を踏まえて過去の集団予防接種での注射器の連続使用に起因してB型肝炎ウイルスに感染したと認められた人に支払うもの。損害賠償金または見舞金としての性格を持つものとして、所得税法9条1項17号および同法施行令30条に規定する『非課税所得』に該当すると考えて差し支えないか」としている。
 これについて同庁は、「照会に係る事実関係を前提とする限り、差し支えない」と回答している。なお国から原告らに支給される「除斥期間を経過した無症候性キャリアに支払われる検査費用等」「母子感染、父子感染及びジェノタイプに関する検査費用」「弁護士費用相当額」などについても、和解金と同様に非課税所得に当たると回答している。

税理士法人早川・平会計