<タックスニュース>

“与謝野”経済白書まとまる  「消費増税」持論補強の材料?

 内閣府が7月22日に公表した2011年度の年次経済財政報告(経済財政白書)は、取りまとめに当たった与謝野馨経済財政担当相の意向をストレートに反映した仕上がりとなった。
 「白書は政治が介入してああ書け、こう書けと指示する種類のものではない」。与謝野経財相は同日の会見で白書の客観性を強調してみせたが、信じる向きは少ない。白書の構成を見れば「与謝野色」は明確だ。
 例えば、今回の白書は、目玉とも言える東日本大震災の影響分析とともに、財政再建と経済のグローバル化に多くの文量を割き、重要性を訴えた。いずれも与謝野経財相がかねて実現に意欲を示してきた項目で、白書が国内外の様々な経済データを駆使して、これに「お墨付き」を与えた格好だ。
 内容についても、消費増税による経済への悪影響の懸念に対し、日本やドイツの過去の増税を分析して「個人消費が必ずしも停滞するわけでない」と強調。財政再建を経済成長だけで達成するのは難しく、歳出・歳入改革を同時に進めるよう提言するなど、与謝野経財相が主導する税・社会保障一体改革を補強する書きぶりになっている。
 経済財政白書は、戦後間もなく発行された前身の「経済実相報告書」以来、中立的なデータ分析と国の今後の方向性を示す示唆に富んだ提言で信頼を集め、「白書の中の白書」とも呼ばれてきた。しかし、ここ数年は「政府が進める政策の正しさを強調する記述が目立ち、宣伝文書化している」との批判にさらされている。今年もその傾向が踏襲された形で、内閣府幹部は「白書も政府の文書である以上、時の政権の政策と無関係ではいられない」と釈明している。

<タックスワンポイント>

国税庁が特別還付金請求システム  「二重課税」判決受け、HP上に設置

 国税庁は7月20日、同庁ホームページ上に「特別還付金請求書等作成システム」を設置した。最高裁が平成22年7月6日、年金型の生命保険を遺族が受給する際、相続税の課税対象となった部分については所得税の課税対象にならないとの判決を出したことに伴う、還付金の発生に対応するためのもの。
 同庁は、最高裁判決を受けて22年10月、保険年金の税務上の取り扱いを変更。過去5年以内の各年分に所得税が納め過ぎた人については、通常の所得税の還付手続による還付を行ってきた。そして、平成12年から17年の間の各年分については、納め過ぎとなっている所得税に相当する額を「特別還付金」として支給する制度を新設した。特別還付金の対象者は、12年分以後の各年分で、①年金型保険の死亡保険金、②学資保険の契約者が死亡した後の養育年金、③個人年金保険による年金――を受け取っていた、保険料などの負担者でない人。
 この特別還付金を請求するためには、「特別還付金請求書」と「特別還付金の額の計算明細書」を作成し、税務署に提出する必要がある。今回ホームページに設置された「特別還付金請求書等作成システム」では、画面の指示に従い、住所、氏名、生年月日のほか、税務申告情報や、保険年金の情報を入力することにより、特別還付金請求書と計算明細書を作成することができる。請求の期限は24年6月29日まで。

税理士法人早川・平会計