Vol.0152
<タックスニュース>
税と社会保障の一体改革 首相指示も足並み揃わず…
「6月の成案を具体化して超党派での議論に付す素案をお取りまとめいただきたい」
野田佳彦首相は5日、政府・与党社会保障改革本部の初会合で、年内をめどに消費税額の引き上げ時期や税率を明示した社会保障・税の一体改革の「素案」を示すよう指示した。
野田首相は「この改革に不退転の決意で臨む」と強い意欲を示したが、政府・民主党執行部は一枚岩とは言い難い。足下に消費増税反対派を抱える民主党側は年内の結論取りまとめに懐疑的な声が強い。政調幹部は改革本部の初会合に先立ち、首相に「年内断念」を迫ったが首相は譲らなかったという。
首相指示で「年内」は野田政権の公約となったものの、足並みの乱れは相変わらずだ。最大の焦点となっているのが、増税の「具体化」の書きぶりだ。財務省などは素案段階で増税実施日や税率など、消費税法改正に必要な材料を確定したい考え。
政府が来年3月までの国会提出を目指す「消費税準備法」が増税の道筋を示すだけのプログラム法に終われば、増税実施前に再び消費税法改正に向けた作業をこなす必要があり、「増税派」対「慎重派」の対立が再燃しかねないためだ。
一方、厳しい日程感やその後の与野党協議を視野に、素案段階では増税実施日を特定せず幅のある表現にとどめるべきだとの声もある。急先鋒が民主党税調会長の藤井裕久元財務相で「年月日まではやり過ぎ。年の上期、下期でいい」と繰り返し主張している。前沖縄防衛局長の不適切発言などをめぐり野党が対決姿勢を強める中、与野党協議の前提となる素案取りまとめ段階でのつまずきは、一体改革の成否を左右しかねない状況だ。
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<タックスワンポイント>
国税庁 東京電力の照会内容を公表 原発事故賠償金の課税関係
福島第一・第二原子力発電所の事故によって被害を受けた個人に対する賠償金をめぐり、国税庁は税務上の取り扱いに関する東京電力からの照会内容を公表し、賠償金を受け取った場合の所得税の課税関係を明らかにした。
まず避難生活によって生じた精神的損害、生命・身体的損害、放射線被爆、避難・帰宅費用、一時立ち入り費用、人体への検査費用、家事用資産に対する検査費用に対して支払われる賠償金は非課税所得となり、所得税が課されないことになった。
また個人事業に関する賠償金で、避難指示により事業に従事できなくなったことや風評被害を受けたことなどによる減収分、また出荷制限指示による棚卸資産の損失に対して支払われる賠償金は、事業所得を計算する上での収入金額となる。つまり減価償却費などの必要経費を控除した残額が課税対象として処理される。
なお、これらの賠償金は一般的に、東京電力と支払いを合意した日の年分の収入金額として申告することになるが、補償期間が長期に渡る場合、支払われる年に応じて申告することも可能だ。就労不能損害に関しては、給与の減収分に対して支払われる賠償金は雇用主以外から受け取る金銭のため、一時所得の収入金額として扱われることになる。
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