<タックスニュース>

財政審 消費税10%引き上げを堅持  社会保障の切り崩しへ

 財務相の諮問機関である財政制度審議会は、財政健全化に向けた提言を公表した。2010年代半ばまでに消費税を10%に引き上げる政府方針の堅持を求め、社会保障費や地方交付税など「聖域」化している歳出にも大胆に切り込むよう主張している。
財制審は、自公政権時代は財界、学会、マスコミなどの重鎮が委員に名を連ね、その提言である「建議」が予算編成に影響を与えてきた。政治主導を掲げる民主党政権の下で、財政審は規模を縮小し提言も過去2年は見送ってきたが、3年ぶりの提言は官との融和を掲げる野田政権の方針の象徴とも言えそうだ。
 提言では、財政悪化の悪影響として、将来の負担増に備えた消費抑制、金融市場を通じた世界経済への影響などを列挙。「自国内の経済・財政・国民生活に重大な影響を与える」と懸念を示した。さらに、「経済成長で税収が増えれば財政は健全化する」との主張に対して、「成長に伴う増収が財政収支の改善に与える効果は限定的」と反論。20年度の基礎的財政収支黒字化目標に向けた不断の努力を求めた。
 社会保障分野では、12年度に改定を迎える診療報酬について、医師の人件費などで構成する本体部分の引き下げを提言。年金についても、「払い過ぎ」になっている特例水準の解消を12年度から着手するよう求めた。地方交付税については、地方の財源不足を補てんするため法定分を超えて加算された額が94年度以降で70兆円を超えるなど、「国の財政悪化を代償にして地方への配慮が行われてきた」と批判。交付税総額の決定ルールの透明化や、地方財政計画の合理化を徹底して進め、各地方団体が地方税によって独自財源を賄うよう求めた。

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<タックスワンポイント>

国在庁が見解示す  タンスに眠る無記名投信

 国税庁は、日本証券業協会による文書照会への回答で、電子化していない無記名の公募株式投資信託(タンス受益証券)の配当などの源泉徴収義務者は投信の販売会社であるとの見解を示した。
「上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の特例(措法9-3 -2)」で、従来は投信の受託銀行とされていた配当等の源泉徴収義務者が、平成22年1月1日以後販売会社を通じて支払われるものについては販売会社とされている。国税庁の回答は、平成22年1月1日前に収益計算期間の満了の日が到来し、同日以後に支払いが行われたタンス受益証券の配当の源泉徴収義務者を明確にするもの。
 投信は平成19年1月4日に電子化により原則として振替制度へ移行し、受益証券の交付が廃止されている。しかし、移行に同意しなかった場合や受益証券を顧客が保管している場合など振替制度に移行していないものも存在している。このようなタンス受益証券は配当等の支払いの際、販売会社に持ち込まれる。税務上、公募株式投資信託の収益分配による配当等の収入時期は、信託期間中のものについては収益計算期間の満了の日、信託の終了または解約によるものについてはその終了などの日とされる。
 しかし、無記名のものについては所得税法36条3項で、その年に実際に支払いを受けた額を計上する「現金主義」が採用されている。このため日本証券業協会は、タンス受益証券が持ち込まれた場合の源泉徴収義務者は販売会社になり、また源泉徴収の税率は支払日に適用される法令に従うことになるとの見解を示し、国税庁はこの取り扱いを認めた。なお同照会では、タンス受益証券の配当等の支払いや信託終了、一部解約による償還金等に関する支払調書や支払通知書の交付期限についても、配当と同様、支払日が基準となることなども合わせて認められている。

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