Vol.0154
<タックスニュース>
24年度税制改正大綱 時勢に逆行? 燃料課税強化も……
今回の税制改正大綱は、復興増税や消費税議論の影に隠れて、個人所得税や法人税、資産税いずれでも目玉となるような大きな改正は盛り込まれず、話題性の乏しいものとなりそうな雰囲気だが、その中で、自動車税やエネルギー課税など環境関連に係る税制の見直しでいくつか注目を集めている改正項目がある。
自動車税制については、近年国内での新車販売台数が伸び悩んでいることから自動車業界団体などが、「自動車の取得、所有に係る過重な税負担が原因だ」などとして、自動車取得税および自動車重量税の廃止を政府・与党に強く求めていた。そのため、大綱の策定作業でも税制調査会内でその存廃をめぐって活発な議論が繰り広げられたが、結局は厳しい昨今の財政事情を背景に、エコカー減税の延長・拡充などに留まり、抜本的な見直しは見送られた。
もう一つ、環境関連で今後大きな議論を巻き起こしそうな税制として「地球温暖化対策のための税」が設けられたことが挙げられる。これはエネルギー課税の重要改正として23年度税制改正法案に喫緊の課題として盛り込まれたものだが、ご存知のとおり、ねじれ国会の下で23年度改正法案は成立に至らず、このたび24年度改正で引き続き実現を目指して盛り込まれている。
大綱では、「広く薄く負担を求めることで、特定の分野や産業に過重な負担となることを避け、課税の公平性を確保する」とし、そして「導入に当たっては急激な負担増とならないよう、税率を段階的に引き上げる」とこの明らかな増税改正についてまるで、いい訳のような表現に終始している。しかし、福島第一原発での深刻な放射能漏れ事故を契機に、国のエネルギー政策に関しては原子力からの脱却も一部叫ばれている中で、代替エネルギーの一つと見られる化石燃料に対しての増税は有識者からも否定的な意見も出ているところだ。
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<タックスワンポイント>
再建支援の勘所 寄付金課税を回避
経営危機に陥った子会社の倒産防止や整理のために、損失負担や債権放棄、無利息貸し付け等を行うケースがある。このような損失負担等でも、その経済的利益の供与について経済合理性が認められる場合には、寄付金には該当しないものとして損金算入が認められるが、気になるのはどのような場合に「経済的合理性」があると認められるか。この場合、「再建支援をしなければ今後より大きな損失を被ることが明らかな場合」や、「子会社等の倒産を回避するためにやむを得ず行うもので合理的な再建計画に基づく場合」など、再建支援に相当な理由があると認められる場合を指す。
しかし、そもそも子会社等が経営危機に陥っていると認められなければ、せっかくの支援も寄付金課税の対象となってしまう。子会社等が「経営危機に陥っている」場合とは、一般的には、債務超過の状態にあることなどから資金繰りが切迫しているような場合が考えられるが、債務超過状態にあっても自力再建が可能な場合には、その支援は経済合理性がないと判断されてしまうので要注意だ。
ただし、中には債務超過の状態にない債務者に対して債権放棄等をした場合でも、子会社等の営業状態や債権放棄等に至った事情からみて経済的合理性があると認められる場合もある。営業に必要な登録や認可等の条件として法令で一定の財産的基礎を満たすこととされている業種の場合、赤字決算のままでは登録等が取り消され、営業継続が不可能となって倒産に至ることになるが、これを回避するために財務体質改善が必要な場合。また事業譲渡による子会社の整理等に際して、譲受者側から赤字の圧縮を強く求められている場合などもこれに当たる。
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